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【榊淳司 マンション業界の秘密】台風浸水で波紋…「ハザードマップ」は資産価値に影響するのか? 危険指摘エリアに買い手がつきづらくなる可能性も (2/2ページ)

 そうなると、このマップがそのまま住宅購入の重要な判断材料になる。危険が指摘されたエリアの住宅には買い手がつきづらくなる可能性が出てくる。

 ハザードマップが指摘する水害の危険度は標高や、まわりとの高低差が重要な基準になっている。東京の江戸川区は区域の70%が海抜ゼロメートル地帯だとされ、このマップでは「ここにいてはダメ」という刺激的なワードで危険を指摘している。

 台風19号が通過した際にも江戸川区には「避難勧告」が発令された。だが、幸いにもほとんど被害がなかったことが判明。流れる荒川の水位も一部を除いて氾濫の危険を警告する水準にすら達しなかった。流域の一部とはいえ、水位が堤防を越えた多摩川とは対照的だ。

 これは流域の雨量の差というよりも、荒川では巨大な貯水池の建設など、長年の治水事業が行われた結果だろう。

 ハザードマップは大いに参考にすべきだが、水害の原因は高低差だけではない。治水事業の有無や規模も参考にした方がいい。昭和以降、多摩川は度々、氾濫しているが、荒川ではほぼなかったと記憶している。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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