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【田村秀男 お金は知っている】何の利益にもならないのに…人民解放軍が大学のキャンパスを掃除する理由とは (2/2ページ)

 今回、やみくもに香港行政府に「逃亡犯条例」改正を強要したのは、習政権が本土からの資本逃避口をふさぐためだったと、筆者はみる。

 2012年秋に習氏が北京の実権を握って以来、増え続けてきたのは資本逃避である。汚職・不正蓄財の摘発を強化すると資産が香港に移る。人民元を切り下げようとすると、人民元資産は売られ、香港で外貨に換えられる。そして米中貿易戦争が勃発するや、かつてない規模で資本が流出し、止めようがない。資本というのは国内で回ってこそ、経済を成長させる。国外に出てしまえば経済を押し下げる。

 逃亡犯条例は香港に逃亡した「犯人」のみならず隠匿された資産も捕捉する。香港当局に資本逃避を取り締まらせる切実な動機が習氏にはあったはずだ。それが香港の反北京感情を爆発させ、結局改正案撤回に追い込まれた。それでも反北京、民主化運動は高揚したまま収まる気配がない。

 香港を武力鎮圧することはたやすいだろうが、浴びる返り血も尋常ではない。上海金融市場はいまだに規制だらけで、外資は自由な香港拠点を捨て難い。香港が重苦しい共産党統制下に置かれば、本土に流入する資本も激減する。習政権にとって長期打算・充分利用路線を放棄するにはリスクが大きすぎるのだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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