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【榊淳司 マンション業界の秘密】広く見せるため…家具はわざと小さく作る!? モデルルームは“イリュージョン” (1/2ページ)

 先日、あるテレビ番組の企画で「モデルルームで注意すべきところを榊さん的に指摘してください」というのがあった。実際に大手デベロッパーが販売中の新築マンションの棟外モデルルームで撮影を行った。

 最初に、私は玄関ドアの外でディレクターに尋ねた。

 「ほめた方がいいですか?」

 私は長らくコピーライターとして新築マンションの広告を作っていたので、ほめることならいくらでもできる。パンフレットなら1000物件分のコピーは書いた。モデルルームも数百物件は見た経験がある。その空間をほめそやすコピーもたくさん作った。

 ディレクターは「いや、榊さんの辛口で」といった。後から考えれば、それが“命取り”だった。

 玄関ドアを開けて中に入る。上がりかまちまではタイル張り。その向こうのリビングへ続く廊下も同じ大理石風のタイルだ。

 「この廊下の仕様は標準ですか?」

 販売現場の担当者に聞くと、「いえ、オプションです」。

 「標準は?」

 「フローリングです」

 玄関を入ったところの壁は一面の鏡。その隅に小さなオプションのシールが貼ってある。

 「この廊下も、このミラーもオプションです。実際に住戸を買うと付いていませんね。このオプションシールに注意してください」。私はそう言って、小さなオプションシールをアップで撮影してもらった。

 リビングに入ると、ソファがちょっと小さい。図面では居室になっているスペースが、可動式間仕切りで開放されている。リビングが不自然に広くなっていた。

 「普通の家にはあるのに、モデルルームにはないものがあるのですよ」

 そういうと、聞き役のアナウンサーが驚いた様子で「それは何ですか?」と、大げさな身ぶりで尋ねてくれる。

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