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【渡邉美樹 経営者目線】ワタミ・中国全面撤退の舞台裏 チャイナ・リスクは全利益の3割まで (1/2ページ)

 中国・武漢発の新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、ワタミは上海、深セン、蘇州、広州に展開する7店舗を閉店し、中国からの「全面撤退」を発表した。多くの日本企業が中国に拠点を持つ中で「いちはやい」経営判断が注目された。今回は、その決断の舞台裏を説明したい。

 決断に至るまで、あらゆるデータと中国の大手外食企業の経営者からの情報で、さまざまななシミュレーションを繰り返した。

 2000年代前半に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)は終息までに8カ月続いたが、今回の感染者数や罹患(りかん)率はそれ以上だ。終息まで6カ月、9カ月、12カ月とそれぞれ想定し、その累損と撤退の損失をはかりにかけ撤退を判断した。

 経営者仲間から「もともと中国から引くつもりだったのでは」と言われるが、それも違う。「サーモン伝説和民」など新しい業態を立ち上げ勝負に出たばかり。

 しかし、私は経営判断をする際、「2ついっぺんに賭けをしない」というスタンスをとる。感染終息の先行き、新業態の先行き、2つ同時に賭けをしないことも決め手となった。もちろん撤退に際し、日本から中国に出向していたワタミの社員は全員帰国し、今後も他で活躍してもらう。

 終息後の中国経済が、すぐに外食を楽しむほど「回復」するかという視点も重要視した。中国では、企業が従業員の賃金を数割減らして払っている現状もあり、目減りした賃金での生活では、感染拡大が終息しても個人消費は容易には戻らないだろう。

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