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【こんな時代のヒット力】大人も子供も楽しめるよう綿密に世界観を積み重ねた“結晶” ポプラ社「おしりたんてい」 (2/2ページ)

 しかし、アプリと違い、本には効果音がなく、触ってキャラクターがリアクションするわけではない。そこで、パズルや三択の推理問題でページをまたぐなど、「頭も体も動かして読む、見る、最後まで引っ張る工夫を凝らした」。

 絵本を3冊出版した後、15年には児童書の「読み物シリーズ」を発売、絵本を卒業した小学生に向けたものだ。絵本から児童向け読み物への転換は難しいとされるため、絵本と同様にオールカラーにした。読書に慣れていない人のために、全1話の長い話ではなく、2話構成にしてまずは読み切ったことを実感できるようにした。

 絵本、児童向け読み物は対象年齢が限定される上、購入するのは子供本人ではなく親。10万部で大ヒットとされる市場だ。

 「長いスパンをかけ、新たな国民的キャラクターに育てあげる」ことを考え、イベント、マーチャンダイング(商品化)、映像化を展開した。テレビでおしりたんていを知った子供が本に興味を持つよう書店で謎解きイベントを開催した。親たちには山手線で車内広告を展開した。その結果、目に見えて読者が増えたという。

 出版不況に関し、「実感で書店の現状は明るくない」と感じるという。とはいえ、まだまだ面白いものを出せば買ってくれる。「楽しい物がいっぱいある中で、幼少期に本が面白いことを体験しなければ、その後の読書体験がなくなる。まず面白い本を提供する」。児童書を担う出版社としての矜持だ。(村上信夫)

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