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【定年後の居場所】『定年後』が入試問題に使われた あらためて「言いたかったことは何か」と問われると迷う (1/2ページ)

 受験シーズンはすでに終わったが、拙著の文章が大学の入試問題に使われたことがある。これで3度目になる。初めに「日本著作権~」という団体から封書が届いた時には、「何もマズイことはないはずだが」と怪訝(けげん)に思いながら開封したことを覚えている。

 入試問題に引用することは事前に連絡できないので、著作権法上、例外として許諾なしで試験問題への複製が認められている。そのため事後的に大学から入試問題として使用したという通知がくる。また入試試験問題集などに2次利用されるので数千円の印税を受け取ることになる。

 自分の書いた文章が意外なところで役立っていると思うと嬉しいものだ。出題された3回の問題を確認すると、いずれも『定年後』(中公新書)から引用されている。20冊程度の拙著の中では、圧倒的に多くの人に手に取ってもらった本なのでそうなったのだろう。ただ『定年後』の内容が高校を卒業したばかりの受験生に対する課題として妥当なのかという疑問を当初もった。大学の入試問題を作成している知人の教員に聞いてみると、高校生を対象にしている文章かどうかは気にしていない。入試問題として妥当かどうかの判断が優先するという。事前に受験生が読んでいる可能性は低いという意味では逆に悪くないかもしれない。

 3つの問題の引用個所はいずれも異なっているが、すべて第6章の「死から逆算する」から出題されている。出題者の関心がこの辺りにあるのだという推論が成り立つ。おそらく60歳前後の男性で、これからの自らの働き方、生き方に関心を持っている人ではないか。

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