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【渡邉美樹 経営者目線】新しい生活様式で倒産が増える 実現可能な案と、人のせいにしない社会 (1/2ページ)

 政府の専門家会議が示した「新しい生活様式」を見て、愕然とした。この様式に直接該当する業界は、廃業や倒産ラッシュの危機に直面する。カラオケ、飲食店、スポーツジム、冠婚葬祭など、業界そのものが立ち行かなくなる。

 もちろん、感染症の専門家を責めるつもりはない。彼らも経済の専門家の意見を求めている。この新しい生活様式の食事の項目では、「大皿は避けて、料理は個々に」「対面ではなく、横並びで座ろう」「料理に集中、おしゃべりは控えめに」「お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けて」などの表現が並ぶ。これは居酒屋のそのものの否定だ。経済的な救済策も示さないで、この様式を発表しても、結局は「生きていくため営業する」中小の経営者も出てくるわけで、中途半端なものになってしまう。

 私は普段、会社の役員会などで中途半端な意見や、実行不可能な案で話が終わりかけると、口グセのように「とどめを刺せ」と言っている。実行可能な案でなければ、現実は変えられない。

 食事の様式で言えば、「1テーブルずつ開けましょう」「満席率は50%ずつ」などと、実行できる「とどめ案」を国が提示すべきだ。それを守る上での減収補償などは当然、議論の対象だ。感染症の専門家と経済の専門家がこうして具体的に折り合いをつけるべきだ。

 ドイツや韓国で再流行の兆しが伝えられる中で、日本も中途半端に動き出した。しかし、経済の回復も中途半端だろう。飲食店の客足も簡単には戻らない。国としては「商売をさせている」状況をつくり、実際は事業者を「生殺し」にしている状況だ。20時までの営業や、弁当・宅配の推奨など、中途半端な政策の方が、倒産が増える。一発よりもボディーブローの方が怖い。

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