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なぜ5G対応のiPhoneはまだ登場しないのか? カギを握るモデムチップの存在 (3/4ページ)

 ◆5G対応のため“犬猿の仲”Qualcommと和解

 そのきっかけは、Appleが2017年に、Qualcommが他社に自社技術を提供する際に不当なライセンス料を請求していると主張し、Qualcommを訴えたこと。その後、QualcommもAppleを訴えるなどして泥沼の訴訟合戦が続き、両社の関係は急速に悪化。AppleはiPhoneなどにQualcommとIntelのモデムチップを採用していたが、この一件以降、Intel製への移行を急速に進め、2018年の「iPhone XS」シリーズ以降はIntel製のモデムチップを採用するようになっていた。

 だがそのIntelが、5Gのモデムチップ開発を思うように進めることができず、供給スケジュールに大きな後れが生じてしまったのである。それゆえIntelからのモデムチップの供給を受けていたAppleも、5Gスマートフォンを思うように提供できなくなってしまったのだ。

 このままIntelの5Gモデムチップの完成を待っていては、いつ5G対応のiPhoneを投入できるか分からず、それが理由となって競争力を失い、ライバル他社にiPhoneのシェアを大きく奪われてしまえば、経営を大きく揺るがす事態にもなりかねない。そうしたことからAppleは2019年4月に、最悪の関係に陥っていたQualcommと和解。既に5Gモデムチップで実績のある同社からモデムチップを供給してもらうという道を選んだわけだ。

 一方で、この一件によってAppleは、スマートフォン開発におけるモデムチップの重要性を強く認識したといえる。そこでAppleは、Qualcommとの和解により最大の顧客であるAppleを失い、5Gモデムチップ開発から撤退を表明したIntelから、モデム事業の大半を買収。自ら5Gモデムチップを開発するに至っている。

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