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シエンタ販売減でミニバン離れか コロナでクルマ選びに変化 (5/5ページ)

 そして、両モデルに共通しているのは、実は運ぶだけが能ではないということだ。顧客の歓心を買わんとして、走りや乗り心地のチューニングはとても丁寧に行われており、鈍重なイメージを裏切る性能を有している。

 シエンタの特徴は、あろうことかハンドリングの良さ。ベースは旧型『ヴィッツ』だが、同じプラットフォームを使う『アクア』、『カローラ』などと比べてもハンドリングの質が一番高かったのは断然シエンタだ。

 ◆小型ミニバン「ジャパンオリジナル」の行く末

 過去、500kmほどドライブして試してみた際、栃木・那須の山岳路を走ったときは、まるでスポーティハッチのようにロールが安定し、アンダーステアの度合いをしっかりと感じながら確かな手ごたえで軽快に山道を走り抜けることができた。

 本格的に荒れた道になるとサスペンションの能力の限界が露呈するが、舗装が荒れている程度の路面ではタイヤの接地性が思いのほか良く、安心感のあるドライブを完遂できた。ヴィッツのプラットフォームでここまで作り込むとはアッパレという思いだった。

 フリードでは3800kmという超ロングドライブをやってみたが、こちらは高速安定性の高さと6名乗車のフルロードでも失われない強靭性が印象に残った。特に高速安定性はボディの空力設計が良いのか、最も速い流れに乗っても後方乱流で車体が微妙に振られることもなく、本当にぴったりと直進した。

 価格はどちらも同クラスのハッチバック車に比べて相当に高いが、それなりの価値を出そうという両社の開発陣の執念のたまもので、乗ってみるとその高さにもある程度納得がいくものがあった。

 小さいボディに多くの機能を詰め込むというクルマ作りはもともと日本メーカーの得意とするところだが、特に小型ミニバンは他国にはなかなかない“ジャパンオリジナル”と言うべき特質を持っていると言えよう。

 コロナショックとSUVの台頭に押されていることがシエンタの販売台数減ではからずも見えた小型ミニバン。商品力を生かして今後再び勢いを盛り返すのか、それともポストコロナの生活様式の変化や少子高齢化の波に呑まれてこのまま衰退していくのか--。行く末が興味深い。

NEWSポストセブン

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