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【独話回覧】米大統領選後の景気 どちらが勝つにせよ、株高基調維持ならコロナ不況回復 経済動向見るとトランプ氏圧勝だが…バイデン氏がつけ込む“隙”も (3/3ページ)

 株価が米国の実体経済動向と連動する度合いが高いというのが、拙論の分析であることは本欄などで述べてきた。株価と実質GDPについて、統計学でいう相関係数(完全相関値は1)は08年9月からコロナシ・ョック勃発時の今年3月までの期間でみると、0・98と完全相関に近いのには驚かされる。

 相関係数自体は因果関係を示すわけではないが、家計や年金基金の株式資産の運用比率は高く、株高は個人消費を押し上げる。株式市場が活況だと、企業も設備資金をやすやすと株式市場から到達し、新規分野に投資する。

 コロナ感染拡大が人の動きを止め、飲食サービス業などの雇用の重圧になっていても、株高は景気の先行きを明るくする。トランプ氏にしてみればしてやったり、との思いもあり、そのことが、コロナ対策についてのぞんざいな発言につながったのではないか。

 もう一つ、株高は富裕層をますます富ませるが、コロナ不況に苦しむ中低所得層との格差が拡大する。米国社会の分断問題深刻化の要因であり、トランプ氏はそれに対応しきれていない。コロナ対策と合わせた、トランプ政権に対するネガティブな印象がバイデン氏につけ込ませる隙を与えている。

 さて、大統領選後の米景気はどうなるか。大統領の座をどちらが得るにせよ、グラフが示す通り、株価さえ上昇基調が維持されれば、コロナ不況からの回復は確保されるだろう。

 ■田村秀男(たむら・ひでお) 産経新聞社特別記者。1946年高知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後の70年日本経済新聞社入社。ワシントン特派員、米アジア財団(サンフランシスコ)上級研究員、日経香港支局長などを経て2006年産経新聞社に移籍した。近著に『検証 米中貿易戦争』(ML新書)、『消費増税の黒いシナリオ デフレ脱却はなぜ挫折するのか』(幻冬舎ルネッサンス新書)など多数。

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