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【田村秀男 お金は知っている】“トランプ対中制裁”「不発」ではなかった コロナ禍収まれば形勢再逆転、菅政権はブレずに「脱中国」推進すべき (1/2ページ)

 米国ではトランプ前大統領支持の怒号が渦巻く中、民主党のバイデン大統領が誕生した。バイデン政権がとりあえず受け継ぐはずのトランプ前政権の最大の「遺産」のひとつは、対中貿易強硬策である。中国製品に対する制裁関税、半導体などハイテク禁輸などだが、「不発だった」との評価が米メディアに多い。本当にそうなのか。

 グラフは中国の対米輸出入の推移である。輸出入の差額(輸出超過額)が貿易不均衡(貿易黒字)にほぼ匹敵する。なるほど、2019年に減る傾向にあった対米黒字は20年にはほぼ一貫して増加し続けている。中国・武漢発の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のせいで、脱中国どころではなくなったからだ。

 マスクや抗生物質など医療用品やスマホ、パソコンなどの製品や部品の供給を中国に頼らざるをえなくなった。在宅勤務のためにパソコンなど電子機器需要が増加した半面、米国内の感染拡大のために生産現場が混乱した。トランプ前政権は習近平政権を追いつめていたのに、中国発のウイルスのために形勢が逆転してしまった。

 米中貿易戦争は18年7月、トランプ前政権が対中制裁関税を発動し、それに対して中国が報復関税で応じる形で勃発した。トランプ氏は当時、「貿易戦争には簡単に勝てる」と自信満々だった。20年1月中旬には「第1段階の合意」が成立し、一時休戦となったが、ほぼ同じタイミングで、ウイルスが感染爆発となり、またたく間に米国など世界にウイルスがまき散らされたとあっては、何か陰謀ストーリーのような展開である。

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