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【令和を変える! 関西の発想力】「大阪いちごサイダー」の心意気 コロナ禍で追い込まれた農家のいちごを買い上げ開発、飲食店の売り上げにも (1/2ページ)

 長引くコロナ禍で混迷度を増す日本経済。しかし、コロナ禍だからこそ生まれたヒット商品もあります。

 大阪北部の能勢(のせ)町で誕生した「大阪いちごサイダー」もそのひとつ。昨春の緊急事態宣言時、300年もの歴史を誇る「能勢酒造」が地元のいちご農家を助けるために開発しました。「地元の農家を放っておけない」と社長の子安丈士さんがみずから指揮を執り、旬を迎えたのに出荷できなくなったいちごを買い上げ、自社技術でサイダーをつくったのです。

 この「大阪いちごサイダー」は地元の心を掴み、大阪府からも「大阪産(おおさかもん)」と称する地元ブランド品に選ばれました。特に暑い夏には、いちごのほんのり甘い味が夏バテの体に染みると評判を呼び、大手スーパーやコンビニからオファーが相次ぎました。出荷できなかったいちごが、サイダーとして蘇ったのです。これぞ快挙といえるでしょう。

 しかし当の子安さんは涼しい顔。創業以来、何度も未曽有の危機を乗り越えてきた同社の歴史を背景に、「コロナ禍は必ず乗り越えられる」と言い切ります。というのも同社の創業は江戸時代中期の1712(正徳2)年。「生類憐みの令」で知られる5代将軍・徳川綱吉亡き後、新井白石が政治改革「正徳の治」を始めた頃にあたり、富士山の噴火など未曽有の天変地異が相次ぐ中、政治も民の心も荒れたと伝えられています。そんな時代に大阪・能勢で創業した「能勢酒造」は、とにかく地元の人々に美味しい酒を飲んで欲しいと地道な努力を重ね、人々の信用を得ながら長い歴史を築いてきました。その傍にはいつも地元に湧き出る銘水がありました。

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