記事詳細

【榊淳司 マンション業界の秘密】不動産屋の悪しき慣習 売却仲介で他社からの買い手紹介を拒否 自社で買い手を見つけて、両方から手数料を得る「囲い込み」 (2/2ページ)

 こんな具合に問い合わせてもらうのだ。その仲介業者がルール通り、すべての仲介業者からの買い手紹介を受け付けているのなら、「ぜひご案内ください」となる。

 しかし、その時の返答は「担当者がいないので分かりません」というものだった。「後で担当者からかけ直します」とか、「担当は○○というものなので、〇〇におかけ直しいただけますか」ではない。

 手っ取り早く言えば、他社からの買い手紹介を拒否しているようだった。実のところ、こういうケースがほとんどと言ってもいい。

 これは自社で買い手を見つけて、売りと買いの両方から仲介手数料を得るための「囲い込み」という行為である。両方から手数料を得ることは法には触れない。だが、「囲い込み」は法的には禁止されている。特に自社で多くの顧客を抱える業者ほど、この手法に積極的だ。

 囲い込まれて損をするのは、相談者のような売主さんである。そのことを丁寧に説明すると、相談者の顔色がみるみる変わった。

 少々業界的な説明だが、ただ囲い込まれているだけなら傷は深くはない。悪いケースだと、なかなか買い手が現れず、ズルズルと時間だけが過ぎ、結局、仲間の買い取り業者に安値で売らされる。

 残念ながら、日本の不動産仲介業の世界は、こういう現象が常態化し、改まっていない。

 「不動産屋にだまされる」という事象は、今でも現在進行形で、だから、注意してもしすぎることはない。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

関連ニュース