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【大前研一 大前研一のニュース時評】東日本大震災から10年も復興に遅れ 国が土地買い上げ核燃料を「石棺方式」に (1/2ページ)

 東日本大震災から10年。政府はこれまでに約38兆円の予算を投入し、寸断された道路整備などの基盤整備をおおむね完了させた。来年度からの5年間を「第2期復興・創生期間」と位置づけ、約1兆6000億円を見込んでいる。

 新たな基本方針には、東京電力福島第一原発事故で避難指示が出た地域の帰還促進や、周辺12市町村へ移住する人への交付金支給を明記し、原発事故の影響が続く福島の再生を柱に移住促進や営農再開などに力を入れるという。

 大震災の1週間後、私はビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組で、高台移住を勧める一方、津波被害のおそれがある低い土地に戻りたい人々には自己責任で住んでもらうと提起した。これは豪州や米国などで実施している「津波プレイン」という考え方だ。

 歴史的に津波や洪水で大きな被害が出ている土地を「洪水プレイン」に指定、ここを買う場合、ほかの土地に比べて安いかもしれないが、いざとなったときに国が補償することはしないというものだ。

 で、「津波プレイン」に指定された土地の被災者には、資産に見合う家を高台に無料で造り、補助金も出す。このようにすれば、町単位の移転がしやすくなる。防波堤にかけるカネがあるのだったら、高台の住宅に手厚くする。

 土建国家らしく万里の長城のような防波堤を造っても、3・11のようにそれを超えた津波、あるいは回り込んできた津波をすべて防ぐのは困難だ。

 こういったことをまったくせず、カネだけかけて万里の長城みたいなモノを海岸一帯に作り「復興特需は終わりました、次は何かありませんか」と言っているだけ。不幸にして、当時の民主党政権には「自力回復」あるいは「津波の経験を生かした新しい政策」が出てこなかった。自民党はそれに乗っかっているだけだ。

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