記事詳細

【田村秀男 お金は知っている】「ストックホルム症候群」を世界に広げる中国 経済面での“中国依存”を高め、供給停止に対抗する「強力な抑止力」へ (1/2ページ)

 テロリストなどに拘束されて人質になった。犯人に食べ物提供や、トイレに行けるよう頼み込むしかない。すると許可を出す犯人に感謝の念が湧き、次第に好意的な印象を持つようになる-。

 これは「ストックホルム症候群」と呼ばれる心理現象で、1973年にスウェーデン・ストックホルムで起きた銀行強盗人質事件を題材に、2018年には『ストックホルム・ケース』として映画化された。米連邦捜査局(FBI)報告書によれば、犯人と心理的なつながりを示す根拠がみられる人質事件の被害者は極めてまれだというが、国際政治では現実に進行中である。新型コロナウイルス・パンデミック(世界的大流行)の発生源となり、世界を大不況の淵に陥らせた中国だ。

 アジア、アフリカ、中南米に対しては中国産コロナワクチンを供給し、インフラ投資も引き受ける。中国産ワクチンは副反応を恐れる中国人民には評判が悪く、政府が食用油の土産付きで接種を呼びかける始末だが、コロナ感染拡大を恐れる国々にとってみれば「干天の慈雨」というところか。

 不況と外貨不足に悩む発展途上国などは、金利が高いうえに品質や耐久性に疑問があっても橋や高速道路などの建設を中国に委ねる。そんな「感謝」のせいか、途上国の多くが中国に配慮して、先進7カ国(G7)外相会議が支持していた台湾の世界保健機関(WHO)の年次総会へのオブザーバー参加の反対に回り、WHOは台湾を招待しなかった。

関連ニュース