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【シニアライフよろず相談室】相続の生前対策(3) 家族信託を活用した具体的事例 (1/3ページ)

 今回は、相続の生前対策の具体的な事例のご紹介です。

 ご相談者のAさん(79)は、軽度認知症の奥さんと2人暮らし。長男と長女は、それぞれ独立しています。Aさんは、自分が奥さんより先に亡くなったら、奥さんには介護施設に入ってほしいと思っています。その際、自宅は処分し、売却代金を施設の入居一時金や奥さんの老後資金に充当すれば良いとの考えです。

 今後、奥さんの認知症が進む中、Aさんが先に亡くなったら、どうなるでしょうか?

 相続発生時に奥さんの判断能力が不十分とみなされると、その意思表示は法的には無効とされます。しかし、遺産分割協議は相続人の全員で行う必要があり、奥さんの代理人を選任する必要があります。実務的には、家庭裁判所に成年後見人選任の申し立てを行う(法定後見制度)のですが、手続きに数カ月かかるのが通常です。

 「申し立ての際、後見人の候補者を書く欄に、長男の名前を書いておけば、長男が後見人に選ばれるんですよね?」とAさん。しかし、実際には必ず親族が選任されるわけではありません。最近は、後見人にふさわしい親族がいる場合は、その親族を選任する方向にシフトしつつありますが、家庭裁判所が弁護士や司法書士などの専門家を後見人に選任することも多く、現在、約7割のケースではこうした専門家が後見人に就任しています。

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