ルネサンス・斎藤敏一会長 私欲なき起業が大きく育つ

★ルネサンス・斎藤敏一会長(68)

2013.05.28


ルネサンス・斎藤敏一会長(撮影・野村成次)【拡大】

 スポーツクラブ業界は社内ベンチャーを出発点とする会社が多い。なかでもユニークなのは業界第3位のルネサンス。現会長、斎藤敏一氏が立ち上げた同好会が事業として認められ、スタートした。その斎藤氏に起業の経緯、経営観、今後の方向性などを直撃した。

 −−昨年が創業30周年。栄枯盛衰の激しい業界で着実に成長をとげてきた

 「当社は、大日本インキ化学(現DIC)の社内ベンチャーとして生まれたが、最初は正式の事業ではなかった。私自身が楽しむために始めたテニスサークルなどが先行し、私の提案で事業として認められて会社を設立した。バブル崩壊など何度か転機はあり、ここまで事業が拡大するとは思ってもみなかった」

 −−よく「事業は小さく生んで大きく育てろ」と言われるが、ルネサンス誕生ストーリーはまさにその通り

 「前段が前段だったので、お金を儲けようとか、大きくしようとかの私欲がなかった。だから逆に事業としてうまくいった。事業化以降も、新しいことをやる場合には基本的にその考えでやってきた。この考えの経営上のメリットは、小さく出るからリスクが少なく、またスピーディーにさまざまな事業を平行して実験的にやれる点。大手商社などでは新規事業は、最小でも100億円程度の売り上げ規模がないと役員会を通らないと聞くが、そうした事業は多くはないし、リスクも大きい。『事業は小さく生んで大きく育てろ』が、私の信念だ」

 −−出発点のサークル活動だが、2年間の留学が契機とか

 「大学を出て就職するとすぐにスイスへ留学し、ヨーロッパ文化に強い衝撃を受けた。成熟社会で、当時の日本と違って若造でも人格、主張を認めてくれた。またイタリア人の友人に誘われてフィレンツェへ行った際、人々が生活を楽しみ、街角でミケランジェロの彫刻などルネサンスの文化と出会えた。文化との触れあい方が日本と全く違った。帰国すると残業続きで土日も仕事。仕事が嫌いだったわけではないが、これではたまらないということで自らまず勉強会を、次いで落語同好会を立ち上げ、余暇の楽しみを生み出そうと考えた。私なりのルネサンス運動、人間性回復運動だった」

 −−自称「落語的経営者」。それにしてもよくDIC幹部が許容したものだ

 「化学技術者を“落後”したから(笑)とか色々あるが、理屈っぽく言うとしゃれにもならないので…。それにしても、オーナー社長だった川村さん父子や、留学時代からのメンターだった入江英俊さん(元DIC樹脂事業部長)には大変応援してもらった。仲間たちにも。それにDICには新しいことを面白がる企業風土があったことも大きい」

 −−今は会長という立場で高所から会社のこと、業界のことを考えている

 「日々の経営は吉田(正昭)社長に任せている。私が幹部に言っているのは、当社を課題解決型企業にしていきたいということ。つまり日本が直面する高齢化社会の課題を健康づくりとか、予防医学的な観点で解決するお手伝いをし、そのうえで社会貢献型の企業になろうということだ」

 「フィットネス業界のみならずサービス業界は、今後アジア諸国へ出て行き、成長を確保する必要がある。各国の発展を助けることにもなる。私は経済同友会のサービス産業国際化プロジェクト委員長としてその推進の一助を担ってきた。当社もベトナムなど東南アジア市場へ進出予定で、手を打ち始めているところだ」 (清丸惠三郎)

■「技術者に限界」猛勉強一流の経営者と交わる

 【勉強好き

 斎藤氏はアインシュタインなども学んだスイス連邦工科大学(チューリヒ)に留学した化学技術者。それだけに勉強家だ。

 あるとき「素人経営には限界がある。一流の経営者と交わりながら経営の勉強をしよう」と思い立つ。知人を頼り、経済同友会に入会、モーレツに勉強した。

 6月にはサービス産業の若手経営者二十数人を集めて勉強会を立ち上げる。「米国の大学で教えていた若手学者を囲んで、サービス産業に関して月1回、土曜日に系統立てて学ぶ。私も言いだしっぺなので参加する」。会長の斎藤氏がそうだから、ルネサンスの社員は勉強好きが多いという。

 【ノルディック・ウオーキング

 スポーツは中学生時代に柔道、大学時代に社交ダンス、社会人ではテニスといった具合。「最近は週1回のテニスのほか、ノルディック・ウオーキングを楽しんでいる。ポールを持って歩くので上半身の運動にもなるし、エネルギー消費も多い。休日には日比谷公園から霞が関辺りまで足を伸ばす」。だいたい夫人と一緒。夫唱婦随の趣だが、絶好のコミュニケーションの場でもあるようだ。

 【教育

 子供は4人。長女、長男はイギリスの大学でホテル学を学び、その方へ進んだ。次女、次男は調理師の道に。「子供たちが小学生のころ、教育はもっと伸び伸びしていていいのじゃないかと考え、放任というか、自主性に任せた」。期せずして全員サービス業に。

 「反省もないわけではないが、4人ともたくましく育ったので悪くはなかったと思っている」

 【年賀状

 「この事業を始めた年から、年賀状に家族写真を載せてきた。3〜4年前からは、私たち夫婦と孫8人だけにした」

 といっても、海外に住む孫もおり、その子が帰国した折に全員集合となる。「いざ撮影となっても、あっちを向いたりこっちを向いたりで、なかなかうまく撮れない。それでも友人たちの中には楽しみに待ってくれている人もいるので…」とほほ笑む。

 【会社メモ】スポーツクラブ業界第3位。本社・東京都墨田区。1979年、大日本インキ化学工業(現DIC)の企業内ベンチャーとして誕生。ディッククリエーション等を経て、2003年から現社名。ベトナムに合弁企業を発足させるなど東南アジア市場進出を図る。資本金22億円超。売上高386億円超。直営クラブ数105(ほかに業務委託クラブ9を含む114施設)。従業員数926人(2013年3月末現在)。

 ■さいとう・としかず 1944年生まれの68歳。仙台市出身。67年、京都大学工学部を卒業し、大日本インキ化学工業(現DIC)入社。同年、スイス連邦工科大学(チューリヒ)に留学。ヨーロッパ的生き方とルネサンス文化に出会う。帰国後、日本の企業社会の前近代性に疑問を感じ、立ち上げたサークルを社内ベンチャーとして健康スポーツ事業に結びつけ、現在のルネサンスを創業。社長を経て2008年から現職。フィットネス業界のリーダーとしても活躍。「遊び亭一生」の高座名を持つ。

 

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