「伝える力」池上彰著 自分自身がしっかり理解すること

2014.06.20


池上彰(著)『伝える力』 (PHPビジネス新書)【拡大】

 難しい経済用語や、時事問題をわかりやすく説明してくれる池上彰氏は、今や、テレビ番組に引っ張りだこである。いかにすれば、彼のように物事を的確に相手に伝えられるのだろうか。

 「伝える」ために大事なことは、物事を「自分自身がしっかり理解すること」だという。もしある言葉を意味のわからないまま話すと、当然ながら相手も理解できないことになる。深く物事を理解すればこそ、わかりやすく説明できる。もし自分の知らないことが出てきたときには、プライドを捨て、他者から謙虚に学ぶという姿勢を常にもつ。これが伝える力を培うことにつながる。

 相手を自分の話にひきつけるためには、まず「つかみ」を大事にするべきだと説く。たとえば、講演では冒頭で失敗談など、意外な話をして、聴衆の耳をこちらに傾けさせる。それにより「何の話が始まるのだろうか」と思わせて、心をつかめる。「これができれば、文章にしても、プレゼンテーションにしても、第一段階は突破できたも同然」という。

 それに、わずかの時間もおろそかにしない心がけも大切だ。多くの視聴者が見るテレビ番組では、10秒であっても、ないがしろにはできない。この時間でもかなりのことが言え、「30秒あれば、起承転結を含めた話もできる」という。テレビの世界で場数を踏んできたからこそ、いえる言葉だろう。

 さまざまなビジネスシーンでは短時間であっても、場の空気を読みさえすれば、顧客の心をつかめるはずである。

 このほかにも、伝える力を向上させるために、「自分の中にもう一人の自分」を意識し、自分の文章や発言に対して「改善の余地がないか」と一人ツッコミを入れていく方法や、「政府は、消費税を10%に引き上げます」というよりも、「みなさん、消費税が10%に上がりますよ」と、主語を入れ替えて話すことで、相手への伝わり方はぐっと変わってくるというテクニックも紹介している。あらゆる視聴者に複雑なニュースをわかりやすく、かつ正確に伝えるプロである著者の「伝える力」を身につけることで、他の人たちより一歩ぬきんでたビジネスパーソンになることは間違いない。

 【類書紹介】池上氏の著作範囲は非常に幅広い。彼の学びの原点を私的に語る「学び続ける力」、現代史の要点を的確に伝える「学校では教えない『社会人のための現代史』」等もある。

 【この本のざっくりポイント】
 ◯相手にわかりやすく伝えるには、まず自分がその物事を理解する。
 ◯知らないことが出てくれば、謙虚に聞く耳を持つ。
 ◯主語を入れ替えて話すだけで、相手への伝わり方は変わってくる。

 ■多田文明(ただ・ふみあき)1965年生まれ。ルポライター。自己啓発書の説く内容を実践レポートした「崖っぷち『自己啓発修行』突撃記」(中公新書ラクレ)を執筆するなど、自己啓発書ナビゲーターとして活動する。詐欺・悪徳商法にも詳しい。

 

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