忍耐と勤勉の重要性を再認識 「自助論」S・スマイルズ著

2014.06.27


S・スマイルズ(著)、竹内均(翻訳)「自助論」(三笠書房)【拡大】

 現代は、いかに時間と労力をかけず、合理的に稼ぐかの方法がもてはやされている。しかし、成功法を唱えた著者の経営する会社が倒産したり、短時間で稼ぐ方法を指南した人物が資金難に陥ったという話を耳にすると、上辺だけのテクニックだけでなく、昔から伝わる精神論にも目を向けるべきではないかと思えてくる。

 今回、取り上げるのは「自助論」である。この書は、明治時代に「西国立志編」とのタイトルで、福沢諭吉の「学問のすすめ」と並び、青年たちに広く読まれた。自助とは「自分自身を助ける」の意で、自分の幸せや成功は、自らの手で切り開かなければならないとする。

 そのために必要なのが、忍耐と勤勉さである。この書ではさまざまな偉人の言葉を引用しており、万有引力発見の秘訣(ひけつ)を問われたニュートンは「いつも、その問題を考え続けていたからだ。そうすると、闇に一条の光が差し込んで、しだいに夜が明けていくように、問題の本質がくっきりと浮かび上がる」と語っている。

 ひとつの物事に真剣に向き合い、我慢強く努力するなかに「ひらめき」が生まれるというわけだ。自助とは、勤勉に働いて、自分で自分の運命を切り開くことでもある。

 そこで、優柔不断さを厳しく戒める。「臆病で優柔不断な人間は、最初から何事も自分には不可能だと思いこむため、何一つ成就することができない」。ナポレオンの有名な言葉として「不可能という言葉は、愚者の辞書に見ゆるのみ」をあげている。精いっぱい努力しようとする意志力のあるところに道は開ける。

 とはいっても、なかなか意志力を貫くのは難しい。そこで、心がけたいのが「今日なすべきことを明日に延ばすな」である。時間の使い方において「1日15分の使いみちが人生の明暗を分ける」といっている。

 短時間であっても自己修養に向けることで、1年後には確かな効果をあげられる。また「時間の浪費は心に雑草をはびこらせる」という言葉も自らを戒めるには、よいものであろう。

 「努力」「忍耐」「勤勉」など古臭いと思われがちな今だからこそ、自助という言葉は重い意味を持っている。

 【類書紹介】
 同じ方向性の書籍として、勤勉さと努力を称揚する「フランクリン自伝」、自己啓発の古典ともいえる「カーネギー自伝」などもある。

■この本のざっくりポイント
◯人生は自分の手でしか開けない。
◯勤勉と努力がすばらしい成果を生み出す。
◯勝負のカギは、持続力である。
◯1日15分の使いみちが人生の明暗を分ける。

 ■多田文明(ただ・ふみあき)1965年生まれ。ルポライター。自己啓発書の説く内容を実践レポートした「崖っぷち『自己啓発修行』突撃記」(中公新書ラクレ)を執筆するなど、自己啓発書ナビゲーターとして活動する。詐欺・悪徳商法にも詳しい。

 

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