「企画脳」秋元康著 記憶の残滓拾い上げるのが発想

2014.07.04


秋元康(著)「企画脳」(PHP研究所)【拡大】

 「AKB48」など、さまざまなヒットを生み出してきた秋元康氏。その発想力には驚かされるばかりだが、彼はどうやって斬新な企画を生み出しているのだろうか。その秘訣(ひけつ)に迫ったのが、「企画脳」である。

 私たちは誰も考えないことを発想するというと、全くの「無」から「有」を生み出すと思いがちだが、発想とはそういうものではなく、過去に「自分が面白いと思ったことを思いだす、あるいは『記憶』に引っかかっていたことを拾い上げる行為」だと、秋元氏は語る。

 ただし、それらの記憶を定着させようとメモを取るのは不要で、「忘れる」というプロセスにより、いらないものをこぼれ落ちさせることも必要なのである。

 CMなどのプレゼンでは、同じような企画では埋没してしまうので、人とは違うものにするための差別化をはかる。「当たり前のことをできるだけ考えて、その当たり前のことは『たぶんここの代理店がやるだろうな』と見当をつけた上で、全部はずしていく」

 すなわち、「こうなるだろう」とみんなが予想できるような予定調和をどう突き崩すか。これが、勝てる企画の発想法につながってくる。

 それに「カルピスの原液をつくれ」ともいう。カルピスの原液から、カルピスソーダからウオーターまで色んなものが生み出されるように、さまざまなものに応用できる原液的な発想をすることも大事である。

 また、情報化が進むと、弊害として「中庸」や「予定調和」のものが増えてくるとし、自分の興味やアンテナ、感性を通じて、情報をどれだけ自分用にできるのかも問われてくるとも指摘する。

 彼自身がここまで成功できたのは、人との「出会い」があればこそと述懐している。ビジネスというものも「結局は人が運んできて、人との出会いの中でうまれる。しかしながら、出会いは自分ではコントロールできない。出会いがいつ起こるのか、それはすべて『運』しだい」である。その運のつかみ方について、「汗をかく努力を怠ると運は逃げる」という。「成功は98%の運と1%の才能と1%の汗」と語るエッジのきいた言語感覚こそが彼の「企画脳」の本質であろう。

 【類書紹介】

 発想法に触れる著述としては学者サイドからの古典的著作である川喜田二郎著「発想法 創造性開発のために」、そして広告産業サイドから生まれた加藤昌治著「考具」などもある。

 ■この本のざっくりポイント

 ◯発想とは過去に面白いと思ったことを思いだす行為である。

 ◯「予定調和をどう突き崩すか」。これが、勝てる企画の発想法につながる。

 ◯汗をかく努力を怠る人は、運を生かせない。

 ■多田文明(ただ・ふみあき)1965年生まれ。ルポライター。自己啓発書の説く内容を実践レポートした「崖っぷち『自己啓発修行』突撃記」(中公新書ラクレ)を執筆するなど、自己啓発書ナビゲーターとして活動する。詐欺・悪徳商法にも詳しい。

 

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