花王「メリット」 時代に合わせターゲットを変更

2014.08.20


花王「メリット」【拡大】

 花王のシャンプー「メリット」は、1970年、フケ・かゆみ防止機能を前面に打ち出して登場した。当時は、洗髪の回数が平均週2・2回と少なく、週に3回風呂に入ってその際、髪を洗うライフスタイル。誰もがフケ・かゆみに悩まされていた。

 新聞広告では、若いOLのイラストに「フケのない美しさ」とコピー、女性に向けた美容ターゲットだった。価格は200円(110cc)で、東京のタクシー基本料金130円の時代にかなり高額だったが、圧倒的な支持を得てシャンプーのトップブランドとなる。

 洗髪回数はその後増え、2000年代にはほぼ毎日髪を洗うようになった。洗髪習慣の変化でフケ・かゆみが気にならない時代となり、変わってダメージへアのケアを打ち出した外国製品が登場する。そのため1990年代後半から、メリットの売り上げは下降線をたどり、大きな転換点を迎える。

 2001年、俳優の保阪尚輝・高岡早紀夫婦(当時)を起用し、「新家族シャンプー」「弱酸性の優しいシャンプー」を打ち出した。以後も有名人の夫婦を起用し、「かわいい子供をメリットで洗ってください」と発信した。

 これに対しBCスキンケア・ヘアケア事業ユニットの神谷光俊さんは、「花王には昔から続いているブランドを大切にする伝統があり、またそれがお客さまの役に本当に立っているのか問い直した結果の判断」という。

 昔からのメリットファンのために、片仮名のロゴはそのまま。パッケージの下が広いどっしりした安定感のあるデザインイメージも踏襲した。この年から、売り上げはV字回復。ターゲット変更は成功した。

 10年、今度は女優、江角マキコを起用、母親を対象とした「ママ友シャンプー」と再度ターゲットを変更する。「10年間で子供向けシャンプーのイメージが強くなり、子供と旦那にメリット、母親は別ブランドというスタイルが増えた」(同)からである。シャンプーの決定権者である母親に向け「お母さんも使えるよ」と発信した。

 花王では(消費者の)意識や実態のトレンドを数値で表すベンチマーク調査やブランド独自のイメージ調査を頻繁に行い、「ブランドマップを把握」(同)するようにしている。自分たちのブランドの立ち位置を知り、客の変化に対応するのである。

 14年2月には、処方を大きく変えた。「温暖化や節電の影響で、地肌に目を向け、べたつきや匂いを気にする人が急に増えた」(同)からだ。それをより打ち出すため、初めてパッケージの正面から「フケ・かゆみを防ぐ」の文字を外した。結果、前年比110%の大ヒットとなった。

 リニューアルにあたり、神谷さんはメリットのヘビーユーザー数十人を対象にモニター調査を繰り返している。その結果、彼らは「フケ・かゆみ」の文字がなくても、パッケージのデザインや色合いで「メリットだ!」と信用することがわかった。

 トレンドに合わせて変える部分と変えてはいけない部分を見極め、ロングセラーの新時代へ舵を切ったのである。 (村上信夫)

 

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