情報の取り扱いを論じる 「『知』のソフトウェア 情報のインプット&アウトプット」立花隆著

2014.10.17


立花隆(著)「『知』のソフトウェア 情報のインプット&アウトプット」(講談社)【拡大】

 著名なジャーナリストである立花隆氏は、有効な知的情報の処理を行うには、大脳そのもののハードウェアの性能を熟知し、ハードに即したソフトウェア(頭の使い方)をもつ必要があるとする。長年の取材執筆経験をもとに、情報のインプットとアウトプット、そしてそのプロセスについて説いている。

 情報のインプットには、仕事のための情報を集めるといったアウトプットの目的が先行する型と、特に目的は考えず、楽しみながらインプットする型の2つがある。

 目的先行型の読書では必要なところ以外は読まないので、無目的型よりも能率が高くなる。人の目や大脳は無意識レベルで重要な情報があると、意識レベルにまで情報をあげてくれるので、本に目を走らせ自然に目が行く箇所があれば、その辺を精読すれば必要な情報を拾い上げられるという。

 アウトプットとは文章を書くこと。書き出しまでたどり着けたら、その仕事は半分以上過ぎたようなものである。そこで、アウトプットまでの準備段階が大事になる。この間はブラックボックスになっており、無意識下で物事が進む。

 これは酒造りの工程に似ており、酒造りの発酵は酵母によってなされ、人ができるのは温度調節や撹拌(かくはん)するぐらいだ。発酵して美酒ができたらビン詰めをして出荷するが、これがアウトプットにあたる。

 書く作業においても、考える素材を頭に詰め込んだら、考えが熟して伝えるべき何かが出てくるのを待つしかない。よい文章を書くには、自分で良いと思える文章をできるだけ多く読んで、頭の中の発酵を待つ必要がある。

 また世の中にはガセネタも多い。そこで、私たちが得た情報がオリジナルから、何段階のクッションを経て伝達されたものかを考える。1次情報とは自分の五感を通じて得るもので、2次情報は現場にいた人からその状況を聞いたものだ。3次情報は2次情報を記者が報道した情報になる。

 次元が上がるほど、情報の質は落ちる。何かの情報に接したら、それが何次情報であるかを考え、そこに情報操作が加わっていないかをチェックし、真実性を吟味してから受け入れることが必要だ。

 【類書紹介】
 取材について論じた類書には加藤秀俊著「取材学−探求の技法」、永江朗著「インタビュー術!」などもある。

 ■この本のざっくりポイント
 ◯目的先行型の読書法では、必要なところ以外は読まないので、無目的型のインプットよりも能率が高くなる。
 ◯インプットとアウトプットの間はブラックボックスで、頭の中の無意識でことが進む。
 ◯情報を得たときには、懐疑の精神を持ち、それが何次元の情報かを考えて真実性を吟味する。

 ■多田文明(ただ・ふみあき)1965年生まれ。ルポライター。自己啓発書の説く内容を実践レポートした「崖っぷち『自己啓発修行』突撃記」(中公新書ラクレ)を執筆するなど、自己啓発書ナビゲーターとして活動する。詐欺・悪徳商法にも詳しい。

 

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