「読書力」齋藤孝著 読書をすることの意味を再考させてくれる

2014.10.24


齋藤孝(著)「読書力」(岩波書店)【拡大】

 かつては電車内で読書をする人をよく見かけたものだが、今は若い世代を中心にスマホを操作する人の方が圧倒的に多くなってきている。

 明治大学文学部の齋藤孝教授は、「読書力」のなかで、現代は活字離れが深刻であるとし「なぜ、読書をしなければならないのか」の問いに対し、本を読むことで「自分の世界観や価値観を形成し、自分の世界を作っていく、最良の方法だから」と述べている。

 読書は思考力を培うなど、自己形成に大きく関わってくる。また読書の力を身に付ければ、要点をつかむのが速くなるので、たくさんの資料を渡されても的確に処理できるなど、仕事の面でも大いに役立つ。現代において、こうした情報処理能力は必須なものであろう。

 読書力を上達させるためのプロセスには4つある。ひとつは、親が子供に本を読んであげるというような読み聞かせの効用である。耳から話を聞くことで、イマジネーションを育てられる。

 次に声に出して本を読むことで、読む力量をチェックできる。音読によって、注意力は高まり、黙読で読み過ごしてしまいそうな言葉も読み飛ばすことはない。

 ステップ3として、本に線を引きながら読む方法をあげる。これにより自分自身を積極的に本の内容に関わらせていく。そこで三色ボールペンで線を引くことを紹介する。赤線は「すごく重要」、青線は「まあ大事」、緑線は「本筋とは関係がないが、面白い」といった具合だ。赤線をたどれば本の主旨がみえてくる。

 ステップ4は読書のギアチェンジである。読書ではいつも一定の速度で読むのではなく、読書スピードを何段階か持ち、本ごとに緩急をつけて読む。

 読書はコミュニケーション力の基礎にもなる。本を読み、話の文脈を捉える力が培われれば、人と話す上でも話の要点をつかむのが上手くなり、対話力は格段にアップする。それに本は必ずしも、最初から最後まですべてを読み切る必要はない。ほんの1行でも、一生の宝物になることがある。

 印象に残る一文を見いだすという意識で読めば、本との距離はグッと近づく。本書は、読書をすることの意味を再考させてくれる内容になっている。

 【類書紹介】
 読書を論じる書には、ショウペンハウエル著「読書について」、渡部昇一著「知的生活の方法」などもある。

 ■この本のざっくりポイント
 ◯三色ボールペンで大事な部分に線を引き、本に積極的に関わることで要約力を鍛えられる。
 ◯本を読む際、印象に残る一文を見いだす意識で読めば、本との距離は近づく。
 ◯「文庫百冊・新書五十冊を読んだ」が、読書力があることの条件である。

 ■多田文明(ただ・ふみあき)1965年生まれ。ルポライター。自己啓発書の説く内容を実践レポートした「崖っぷち『自己啓発修行』突撃記」(中公新書ラクレ)を執筆するなど、自己啓発書ナビゲーターとして活動する。詐欺・悪徳商法にも詳しい。

 

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