元IBM営業マンが大胆起業 バリ絵画に魅せられて美術商に

2014.10.31


180度転身して美術商にチャレンジした坂本さん【拡大】

 当コラムは、それまでとは違う生き方、新しい仕事に挑戦している人を紹介するというのがテーマ。昨年4月の連載開始以来、多くの大胆な人を取材してきたが、ここまで潔い人も珍しい。元日本IBMの営業マンだった坂本澄子さん(52)は、26年間の勤務で積み上げた経験をあっさり捨て、美術商というまったく新しい仕事に転身した。

 「みんなから無謀だと言われましたけど、準備万端整えても一瞬のうちにすべてを失うことだってあるし、何かやりたいことがあるなら思い切ってやってみるべきではないかなと」

 大阪の外国語大学でドイツ語を専攻。1986年、日本IBMに入社。当時、女性では珍しい法人営業を担当した。12年前に東京本社へ転勤になってからは、新規開拓部門で新しいプロジェクトに取り組むことが多かった。

 前から趣味で絵を描いていた。プリミティブ・アート(素朴派)の代表的な画家、アンリ・ルソーが好きだ。40代後半、勤続25年の休暇旅行でバリ島へ行ったのが転機に。

 「それまでは肩肘張って仕事をしてきた。そういう生活に疲れちゃったんですね。バリ島のウブド村というところへ行くと、向こうの人たちは、自分ができることなんてすごく小さいことで、神という大いなる力に身を委ねて生きている。ああ、こういう生き方もあるんだなと思いまして、それで人生の後半は少し違う生き方をしたいと思ったんです」

 昨年2月、営業部長のポストを最後に退職。江東区有明の自宅を事務所に、バリ絵画専門の「アートスペースエス」を立ち上げた。

 扱うのは美術館に所蔵されている売れっ子画家の作品が多い。ネット通販も行っているが、港区麻布十番や渋谷のギャラリーで定期的に展示会を開催している。

 前の会社とは180度異なる仕事。「経済的には前の方がよかったけど、人生の満足度を考えたら、元に戻りたいとは思いません。ビジネス的には厳しいけど、何とか続けていきたい」

 バリ絵画にこだわって画商の経験を積み、常設のギャラリーを持つのが当面の目標。「3年以内にビジネスとして回転できるようにして」まずは日本で足場を固め、「アメリカでもバリ絵画を紹介していきたい」というのが、次なる目標だ。

 ■大宮知信(おおみや・とものぶ) ノンフィクション・ライター。1948年、茨城県生まれ。中学卒業後、東京下町のネジ販売会社に集団就職。ギター流し、週刊誌編集者など二十数回の転職を繰り返し、現在に至る。政治、経済、社会問題など幅広い分野で執筆。新著「死ぬのにいくらかかるか!」(祥伝社)など著書多数。

 

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