電機大手8社の2014年4−9月期連結決算が先月31日に出そろい、パナソニックや日立製作所などの大幅増益が目立った。日立は15年3月期の業績予想を上方修正し、連結営業利益を200億円引き上げ、前期比9%増の5800億円になる見通し。2期連続の最高益となる。
日立は円安効果に加えて、IT分野が好調なほか、中国向けの昇降機や英国向けの鉄道システムなど社会インフラ事業も拡大している。さらにグッドニュースは、英豪資源大手リオ・ティントと連携すること。リオが持つ巨大鉱山(ハマスレー)の運営に、日立がITを駆使したインフラ管理技術を提供し、鉄鉱石の生産効率を1割向上させるという。
日立はリオとの提携で培ったノウハウを世界の資源会社に展開し、インフラ事業の柱にするという。こういう事業展開は非常にいいことだ。
ただ私は、日立はまだ収益力が足りないと思う。売上高営業利益率は今期6%台で10%超の米ゼネラル・エレクトリック(金融部門を除く)と比べてもまだ距離がある。売上高もほぼ横ばいで、10兆円を前に伸び悩んでいる。日本最大の企業集団である日立は、まだ伸びるはずだ。しかし、伸びるための手が絞りきれていない。
日立は事業構造改革でグループ内の取引を見直し、原材料調達の共通化などでコストを削減し、収益を立て直した。
一方、構造改革が遅れて、苦戦しているのがソニー。電機大手8社で営業赤字はソニーだけだ。
再建の柱のひとつと位置づけたスマートフォン事業も、価格競争を仕掛けて安価で販売する中国、韓国勢の前にシェアが低下し、損益も悪化する一方だ。ソニーのどこに問題があるのだろうか。