2015年10月に予定されていた消費税の増税が17年4月まで延期されるらしい。それ自体は間違っていないと思う。景気が悪化しているのに増税するとさらに悪い結果を導き、結局は税収が増えない。
では、この増税延期はマンションの価格にどう影響するだろうか。
実のところ、マンションの価格は景気と連動している部分と、そうではない側面がある。商品としてはあまりに高額すぎるので、需給関係を即座に反映しないという特性を持っている。
例えば、東日本大震災で激しく液状化した湾岸エリアの、ある物件。駐車場は液状化の泥でボコボコになった。もちろん上下水道は使用不能。復旧までに何週間もかかった。その間、住民は不自由な暮らしと不安にさいなまれた。
こういうマンションの価格は、本来なら暴落してもよいはず。中古で売却しようとしても容易に買い手が現れないはずだ。ところが、これが表面的にはなかなか落ちていかない。
震災直後には坪単価180万円くらいだったのが、最近ようやく140万円あたりまで落ちてきた。2割強落ちるのに3年半以上かかっている。
実際は水面下で投げ売りなどが行われているはずだが、それは表に出てこない。
一旦、買ったマンションを安くは売りたくない。誰しもそう思う。だから売り出し価格は高く設定する。そういった住民の意地のようなものが、あの物件の表面的な価値を支えてきたのだろう。しかし、需給関係は一向によくならず、いまでも多くの住戸が流通市場で売りに出されている。
これは、日本のマンション市場全体に言えること。価格というのは新築でも中古でも、市場の需給関係をドラスチックには反映しにくい。