かつて全国に500店舗以上を展開し、眼鏡チェーン御三家の一角を占めていた「メガネスーパー」。安売り攻勢で急成長したが、新興勢力との価格競争に対応できずに赤字会社に転落。2012年に投資ファンドが筆頭株主として再建に着手した。その陣頭指揮を執っているのが元物産マンの星崎尚彦社長だ。安売り競争から撤退し、顧客の眼鏡環境を最高の状態に保つ「アイケアサービス会社」に戦略転換、黒字化も見えてきた。 (齋藤裕)
──再建を引き受けた経緯は
「当社は、投資ファンドのアドバンテッジ・パートナーズ(AP)の支援を受けていますが、同じくAPの支援を受けていた衣料品製造販売の『クレッジ』の再建を手がけた縁から再度頼まれました。それまでスイスの宝飾時計、イタリアの婦人服、アメリカのスノーボード各社の社長をやっており、違った業界に興味もあった。それに、400年近く続いている星崎家の菩提寺がここ(本社)から近く、これも何らかの縁かもしれないと思って引き受けました」
──社長になってから手がけたことは
「一昨年、創立40年を迎えたのですが、以前は、10万円台が当たり前の時代に『5万円で作れます』と安売りで攻勢をかけて成長してきた。しかし、ライバルに同じような安売り攻勢をかけられ、対応できずに高コスト体質のまま低価格競争を続け、結果的に大きな赤字をつくりました。そこで、不採算店舗を閉鎖するなどのリストラと同時に『安売り競争をやめましょう』と宣言した。かといってレンズやフレームではライバルとの差別化は難しい。そこで、遠近両用レンズなどを使い始める45歳以上のミドルシニアを主要ターゲットに目の健康をサポートし、接客・検査を通して顧客に合ったメガネを作る『アイケア』というサービス事業会社へ戦略転換しました」
「また、購入して6カ月以内なら何度でも度数変更無料、正常な使用で品質に問題があったら1年以内なら無料で交換・修理、破損しても1年以内なら通常価格の半額で交換します…といったおきて破りともいえる業界最強の保証システムも導入しました」