龍角散、藤井社長 創業メーカーを提携先に譲渡 再生のカギは選択と集中 (1/3ページ)

★龍角散・藤井隆太社長(55)

2015.01.20


藤井隆太社長(撮影・矢島康弘)【拡大】

 「たん、せき、のどあれ、こえに」と言えば「龍角散」と返ってくるほど、のどの専門薬メーカーとして浸透している龍角散。しかし、20年前、藤井隆太氏が社長に就任したとき、会社は瀕死の状態にあった。音楽大学出身という異色の経歴を持つ若社長はオーケストラの論理をてこに事業の選択と集中を実行。一方で輸出や新商品開発に注力した。今や売り上げは就任時の2倍となり、過大な借り入れは一掃されたが、まだまだ経営の手綱を緩める気はない。 (清丸惠三郎)

 −−今期の売上高は、社長に就任した20年前の2倍に

 「予算80億円を2億円ほど上回る。現在、売上比率は輸出を含めOTC(大衆薬)が45%、食品が37%、医家向けが12%。どの分野も伸びており、工場稼働率は過去最高水準です」

 −−輸出も堅調と聞きました

 「私の代に始めた輸出は現在、構成比5%ほど。長期的契約で原料供給しているため、見た目は少ないですが、香港、台湾、韓国では置いていない薬局、薬剤店はありません。売り上げも日本の5倍強。北米のアジア系にも浸透しています。中国に関してはリスクもあり、直接輸出しなくてもインバウンド(訪日)客や香港、台湾を訪れる人が買っているのでいいと考えています」

 −−しかし、社長に就任された当時、経営は窮地にあった

 「窮地なんていうものではなかったですね。売上高40億円の企業が同額の借金を抱えていた。夜、1人になると、借金を返すにはどうしたらいいかと悩んだものです。清算するにも残債が残る。それに個人保証しており、命がいくつあっても生命保険では払いきれない。女房にこんな理不尽な話はない、(借金も含めて)相続放棄するかと話したところ、お世話になった方にご迷惑をかけたままでは申し訳ないわねと言う。で、借金を返すところまで頑張ろうとやってきたのです」

 −−役員、社員に危機感は

 「それが全くなかった。誰もが江戸時代から続く、世に知られた老舗が潰れるはずがないと思っていた。それどころか番頭たちは、胃腸薬や風邪薬を出そうなどと言い出す。私は製薬会社にいたので医薬品ブランドの価値の重要性を認識していたから、それではダメだ、マーケットサイズが小さくてもいいから、のどの専門メーカーである龍角散にしかできないことをやるべきだと言い続けた。役員たちは反対ばかり。万策尽きて、死んで復讐してやろうかと思ったほど。つらかったですね」

 

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