大正時代に創業したのりの専業メーカー「ニコニコのり」は、もうすぐ創業100年の節目を迎える。「のりは食卓で主役にはなれない食材ではありますが、名脇役として無限大の可能性があると思います。のりのおいしさを世界の人たちにお伝えしていきたいですね」と語る白羽清正社長。のりの将来像と同社の方向性を聞いた。 (鈴木恭平)
──最近、ラップにのりを敷いて、ごはんと具をのせ、のりの四隅を折って四角にするだけという「おにぎらず」が、会社や学校ではやっています
「『おにぎらず』は、その名のとおり、握らないおにぎりで、ハムやチーズなどのパンの具や冷蔵庫の残り物など、おにぎり以上に中に入れる食材が自由なんです。そこで、スーパーの販促売り場で、いろいろな食品メーカーとのコラボが展開できるわけです。時間がたってから召し上がる『おにぎらず』には、のり質がしっかりしている瀬戸内海産が向いています。この春に出した『瀬戸内海産おにぎらず塩のり10枚』は、反響が大きくて、製造が追いつかないほどです」
──春の新製品『ポタージュスープ豆乳仕立て』は、ポタージュに磯薫りのりをトッピングさせています。洋食にのりはマッチする?
「豆乳をベースにしたスープに有明海産の磯薫りのりを入れると、味が劇的に変わります。大豆の香りとのりの香りは、実は非常によく合うんです。このように、のりのおいしさを常に追求しています」
──「のりは頂き物」というイメージが強いですが
「かつて百貨店のお中元やお歳暮のランキングで、のりは必ず3位までに入っていました。贈答品の定番でした。しかし、現在ではのりを贈答品に使う習慣も徐々に減ってきています。ということで、私たちはのりの新しい魅力をお伝えするチャレンジャーにならなくてはいけないと考えています」
──社長就任から7年。就任当初から『スーパーののり売り場から飛び出そう』とチャレンジ精神をうたっていました
「今回の『おにぎらず』のほかにも、『のりをパーティー・メニューに』ということで、カップ型ののりを発売しています。クラッカーの代わりに、チーズやイクラなどの食材をのせるわけですね。つまり、『のりピンチョス』(ひと口つまみ)。評判もよく、ワイン売り場に置こうという声も届いています。こういった『のり売り場から飛び出した商品開発』は、少しずつ浸透してきていると思います」