大手電機の米法人元社長が落語と講演で社会に貢献

2015.09.04


高座も板についた三遊亭大王こと渡邉一雄さん【拡大】

 東京・銀座が目と鼻の先の勝どきに住む渡邊一雄さん(79)は、一橋大学を出て三菱電機に入り、香港や米国など現地法人の社長経験もあるエリートサラリーマンだった。定年後の「第二の人生」は、フィランスロピー(社会貢献)の実践と社会人落語家としての活動が生きがいだ。

 米国滞在は留学を含めトータルで10年間に及ぶ。「日本にいるときは仕事だけちゃんとやればいいというモーレツ人間だった」が、米国時代にボランティアの重要性を痛感。定年後はフィランスロピーの普及に努めるなどの活動を重ねた。

 「東大付属病院にこにこボランティア」の代表世話人を務め、日本社会事業大学などでフィランスロピー論を講義。その後、特別養護老人ホーム「等々力の家」の施設長に就任。この役職も7年前に退職し、完全にフリーの生活に入った。

 「アメリカで一番強く感じたのは、日本人の話が下手なこと。英語力というよりユーモアがないからです。施設で老人の生き方を学び、大学で講義をして、一般の人にフィランスロピーの話をするには笑い、ユーモアが必要だと思って」と、三遊亭圓王師匠が率いる社会人落語家の集団「三遊会」に入門。

 七十の手習いだったが、2年で三遊亭大王の名前をもらうことができた。30人のメンバーの中で渡邊さんは最高齢。

 「仲間が『大王さん、最高だね』っていうのよ。俺、そんなに落語うまくないよといったら、いや、年が……」

 75歳の時に難病に襲われ2年間動けない状態になったが、落語は続けた。つえをついて歩きながら稽古に励み、昨年6月には国立劇場でしゃべる大仕事もこなした。

 「多少でも木戸銭をいただくわけですから、お客さんに笑っていただこうと思って真剣ですよ。終わった後、ナベさん、面白かったよと言ってもらえたら最高です」

 多少手足にしびれが残る程度で、体力は戻ってきた。落語や講演などの活動に支障はない。“華麗”ならぬ“加齢”のためか、セリフや身のこなしがなかなか覚えられず、「辞めたくなるぐらい師匠に叱られたこともあるけど、いまは本当にやっててよかったと思っています」。

 9月13日に東京・日本橋の「お江戸日本橋亭」で「圓王百席」が開かれる。渡邊さんも三遊亭大王としてゲスト出演する。目下、その稽古に一生懸命だ。

 ■大宮知信(おおみや・とものぶ) ノンフィクション・ライター。1948年、茨城県生まれ。中学卒業後、東京下町のネジ販売会社に集団就職。ギター流し、週刊誌編集者など二十数回の転職を繰り返し、現在に至る。政治、経済、社会問題など幅広い分野で執筆。『平山郁夫の真実』(新講社)『死ぬのにいくらかかるか!』(祥伝社)など著書多数。

 

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