──ポケットドクターの今後の可能性は
「世界で展開したいですね。メディカルケアが不十分な国も多く、5秒に1人5歳未満の子供が亡くなっている現状があります。医師不足といわれていますが、数分ならば貴重な時間を世界のために使ってもらえるのではないかと思います」
──2014年に株式上場しました
「上場というルールの中で会社が認められ、同時期に上場した企業とのネットワークもできました。長期的視野で取り組める企業態勢も整ったと思います」
──社員に対して強調していることはありますか
「『ドクターとのフラットな関係』が行動指針です。理不尽なことや、いやなことのためにやらなくてもいいと言っています。お金になればなんでもいいということではありません」
──医療ビジネスの将来性は
「日本の人口が減っても医療をターゲットとした市場は拡大していくと考えています。日本は超高齢化社会モデルのトップランナーなので、これから高齢化社会がやってくる国にビジネスモデルを紹介できると考えています」
【交通事故】医療ビジネスに携わるきっかけは20歳のころの交通事故だったという。「自動車に乗っていて信号機にぶつかる事故で、ほぼ1カ月意識不明となり、口の中を20針縫って顔も曲がったり、足も複雑骨折しました。当時は幼いころの記憶が断片的にしか残っていないような状況でした」
生と死を身近に感じることになった。「トラックの運転手さんが車から助け出してくれて、たまたま近くの病院に運んでくれたようです。人は死ぬんだと思ったとき、自分は生かされていたことに気づき、医療に興味を持つようになりました。事故で運命が変わり、性格も変わったようです」
【病院】医療サービス会社に就職し、病院に勤めるようになったが、「事故で記憶が空っぽになったせいか、記憶力がとても良くなったんです。病院に就職した際のテストでは圧倒的に1位でした。いまは記憶力が落ちてしまいましたが」という。
当時の病院は「ものすごくアナログな世界でした。もっと効率がよくなるはずだと思い、情報の共有や医療のルールを学んで、自分で事業を始めようと考えていました」