公認会計士が居酒屋をオープンしたという話を聞いて、ずいぶん思い切った転身だなと驚いた。が、筆者の早とちりだった。
「テーマを日本酒に特化し、仕事の比重を日本酒業界にシフトしたということです」
昨年10月、東京・神田に日本酒バル「にほんしゅほたる」を開店した宮井●(=矢の大が母、右に攵)臣(としおみ)さん(52)は、中小企業の再建を専門とする公認会計士・税理士。
都内の大学を卒業後、国家資格の公認会計士試験に合格。大きな監査法人に入ったが、大企業相手の仕事は「おもしろくなかったので」3年で退職。その後、ベンチャー企業の経営に関わり、地ビールの事業を立ち上げた。
「7年間責任者を務め、中小企業の社長って大変なんだなということがわかったので、また会計の世界に戻った」
2002年2月に東京・銀座に宮井公認会計士事務所を設立。「逆転社長塾」を主宰し、事業再生コンサルタントとして中小企業の経営支援や、苦境に陥った酒蔵の再建に取り組んできた。
もともとお酒大好き。蔵元に対して経営のアドバイスをする中で、日本酒の伝統のすばらしさを再認識。「私も飲食店をやってそれを伝えたいなと。やりがいがあるし、おもしろい」
東京では初めての日本酒ブルワリーパブ(醸造所併設型パブ)だ。宮井さんは店主であり杜氏(とうじ)。昨年12月に酒造免許を取得し、店内に設けた1坪程度の「醸造所」で仕込む。「日本で一番小さい酒蔵です」