会社の命を受けて見知らぬ町で生活するサラリーマンの単身赴任と違って、この人は自分の意思。今年1月、東京から茨城県取手市に単身移住した梅津勝明さん(44)は元放送作家。
「取手市が町ぐるみの起業家支援事業を始めたので、そのお手伝いに来ました。取手はいいところですが寂しくなっているという声も聞くので、これから元気が出るような街作りを支援し、特に若い人が起業しやすいような環境作りをしていきたいと思っています」
茨城県南の取手は東京のベッドタウンとして発展してきたが、2005年につくばエクスプレスが開業して以来人口が減少に転じ、衰退傾向が続いている。梅津さんは中小企業経営者のインタビューで構成する無料月刊誌の編集を続ける傍ら、一般社団法人「とりで起業家支援ネットワーク」が取手駅前で運営する賃貸オフィス[Match−hako(マッチ箱)]の副センター長を務める。
大阪の大学で基礎工学を学び、3年間長野県の電気メーカーに勤めたが、「お客さんの反応が直接感じられるような仕事がしたい」と、東京へ出てきて放送作家になった。
「ラジオ番組の流れや話す内容を台本に書いて出演者に渡す。国語は苦手だったのですが、僕みたいな理系の人間でもわかりやすい文章が書けるかなと思ってやってみたんです」