長嶋茂雄 もはや「存在」することに意味

2016.09.23

長嶋茂雄
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 長嶋茂雄さんは2004年に病に倒れた。このことは衝撃的だった。病自体は仕方のないことだけど、やはり長嶋さんのスターとしての連続性は、この時点で新たな局面を迎えたのだなと思った。

 長嶋さんは、さんざん今まで、われわれを楽しませてくれた。現役時代のグラウンド上のプレーももちろんだけど、オリンピック中継でカール・ルイスに投げかけた「ヘイ、カール!」的な、ズッコケ文化人ぶり、監督としてさっそうとジャイアンツを率いた若き闘将時代、そして、落合博満を懐に入れ、松井秀喜を育て上げ、ジャイアンツ野球を「国民的行事」としてぶちあげた名監督時代。

 その功績や神がかった瞬間を挙げたらキリがないが、病に倒れたその時、長嶋さんは、図らずも、スターから「伝説」に近づいてしまった。もはや、何もしなくてもいい、何もしゃべらなくてもいい。ただ、そこにいるだけで、みんなの気持ちが落ち着く、そんな存在になったのだと思う。

 「どんな高い球もバットを立てれば届く」。この長嶋さんの名言(迷言)はわたしの大好きな言葉だ。いろいろと意味を解釈し、何度となく自分の文章に引用した。どんな悪球も簡単には見過ごさない。その気になればなんでもできる。これは究極のポジティブシンキングだと勝手に思った。

 長嶋さんほど、「終身名誉監督」という言葉が似合う人はいない。それこそ、存在するだけで意味があるのだ。

 今シーズンのセ・リーグは「神ってる」広島カープが、25年ぶりのリーグ優勝を遂げた。プロ野球も世代交代を迎え、若き監督たちが活躍し、ますます活気づいている。

 元祖「神ってる」長嶋さん。もはやエンターテイナーとしての現場は離れ、なかなかメディアには出てこないけど、いつまでも元気で「存在」してもらいたいと切に思う。 (中丸謙一朗)

 ■なかまる・けんいちろう コラムニスト。1963年生まれ。『POPEYE』『BRUTUS』誌で編集者を務めたあと独立。主な著書に『ロックンロール・ダイエット』(扶桑社文庫)、『車輪の上』(エイ出版)、『大物講座』(講談社)など。好きな神は山口百恵と田中角栄。

 

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