夕刊フジにもよく登場している「日本元気シニア総研」の富田眞司代表と先日会い、興味深い話を聞いた。元気シニア総研はその名の通り、シニアを元気にするための研究・分析を行っている団体だが、その過程で「なぜ、シニアにスマホが普及しないのか」を分析したのだという。
結論を言う前に現状を説明しよう。スマートフォンはiPhoneの登場を皮切りに急速に普及したが、次第にその伸びは鈍化。昨年度、ようやく従来型携帯電話(ガラケー)の世帯普及率を上回った。では、この逆転を契機に一気にスマホへの買い替えが進むかというと、そうとも言えない。「ガラケーで十分」というシニアが日本では大多数を占めているからだ。
スマホの普及を進めたいドコモやKDDI、ソフトバンクの大手携帯電話会社(キャリア)は、シニア層を取り込むためにシニア向けの低料金プランを設定したり、「スマホ教室」を開くなど躍起になっている。だが、いずれも奏功しているとは言いがたい。なぜなら、「大多数のシニアはスマホを使う理由がないから」(富田氏)だ。
富田氏によると、ガラケーを持っているシニアは通話機能のみで十分に事足りている。スマホを使ってデータ通信をする必要性は感じていないという。たしかに、キャリア主催のシニア向けスマホ教室では「スマホを使って子や孫とメールやLINEのやり取りを楽しみましょう」といった“スマホで広がるバラ色の生活”を強調するが、孫と頻繁にLINEができる人など、ほんの一握りだ(「祖母」はまだ可能性がある。だが、大多数の「祖父」は難しいだろう)。