元広告業界の人だから強力に売り込んでくるのかと思ったら、千葉県浦安市在住の宮本敏則さん(51)は「面白くなかったら却下していただいてもけっこうですよ」と、あまり乗り気でない様子。そう言われるとなおさら会いたくなる。
学生時代は起業家を志していた。商売のネタを探すには広告業界がいちばんいいと、外資系の「I&S BBDO」に就職。新聞・雑誌などのメディア対応、広告制作を担当。在職した22年間は「楽しくて時をわすれるぐらい」だったが、インターネット時代になり広告業界のビジネスモデルが激変。業績不振に伴う勧奨退職者募集に手を挙げて2012年4月、47歳で早期退職した。
その後、出版社勤務を経て環境ビジネスの会社に転職したが「理想と現実の乖離(かいり)が大きすぎて」失敗。この転職がきっかけで環境問題に興味を抱き「社会貢献をしたい」という思いが膨らんだ。着目したのが「おもてなし」。
「東京オリンピックのときに、われわれも何か社会貢献ができないか」と14年9月、仕事仲間4人でNPO法人「おもてなしJAPAN」を設立。宮本さんは理事に就任した。