専業主婦は、家事で収入を得ているわけではないが、家庭の運営を通して社会に貢献するという意味では立派な仕事。名古屋経営短期大学教授の高橋眞知子さん(66)は、そんなプロミセスを目指す専業主婦だった。
「私みたいに40歳まで100%専業主婦だった人って、周りにもいませんね」
中小企業経営者の娘として高校卒業まで九州・福岡で育った。早稲田大学卒業後、2年間、東京の宝石会社「三貴」で社長秘書に。このときの経験が後のキャリア形成に役に立った。24歳のときに中小企業の跡取り息子と結婚し退社。
ところが、結婚して3年後に夫の事業が傾き倒産。「テレビで見るような夜逃げを経験した」と苦笑。長男が中学校に入学したのを機に「社会復帰しよう」と、当時住んでいた横浜で就活。「パートタイマーでスーパーのレジ打ちでもやろう」と思ったが、娘に不器用なお母さんには無理と反対された。電話帳を見て専門学校に電話をかけたら運よく採用となり、教壇に立つことになった。
専門学校の教員を選んだのは「子供が学校から帰ってくる時間に家にいられる仕事だったから」だ。
教員免許はない。目標が高いと最初から「俺には無理」と決めつける人がいるが、この人にはそういうメンタルブロックなどなかったのだろう。