【元文春エース記者 竜太郎が見た!】昭恵夫人のスピリチュアルな迷走 「愛の人」ゆえに利用されやすいのかも…

 春先から日本列島を席巻した学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地売却問題。さまざまな人物が登場し、テレビ各局もワイドショーで連日取り上げていたが、浅田真央さん(26)の引退などでしばし静観といったところか。

 そのなかで、籠池泰典前理事長をはじめ籠池一家にとどまらず、もう一方の当事者である安倍昭恵夫人は人格、行状まで取り沙汰されることとなった。

 そのキーワードが「スピリチュアル」。水に良い言葉をかけるときれいな水になるという「波動理論」。

 昭恵氏はその提唱者の故・江本勝氏の影響を大きく受けたという。2012年に開店した居酒屋「UZU」は日本神話アメノウズメノミコトから取っており、神道に傾倒していた。

 そうした中、神道系小学校開設を目論んだ籠池家との交流が生まれたのかもしれないが、脇の甘さを指摘されるのは致し方ない。いったい昭恵氏はどんな人物なのか。

 03年に安倍総理が自民党幹事長に抜擢された際、彼女の実家を取材させてもらった。森永製菓創業者一族ゆえ気構えたが、実に気さくな対応でびっくりした記憶がある。

 昭恵夫人は幼稚園から聖心女子学院の生粋のお嬢さまだが、母堂の話を聞き、あたたかい家族に育まれてきたんだなと感じた。

 また私は、15年の経済誌で本人を独占インタビューした。テーマは「女性が輝く社会」に向けてのメッセージ。首相官邸で夫人付きのあの谷査恵子氏とも会った。スラリと背の高い昭恵氏と小柄で控えめな谷氏はとても良いコンビだった。

 ラガルドIMF専務理事やシェリー・ブレア氏ら国際的女性キャリアの話から、バングラデシュにあるアジア女子大学の話題になり、昭恵夫人がパトロンのひとりであることも知った。

 貧しい女性に機会を与えたいという運動に共鳴し、「お金集めに私の名前があったほうが、みんなが安心して拠出してくれるのなら、どうぞ私を使ってくださいと言いたい」と語っていた。

 その姿勢は“性善説”そのもので、発言に嘘はないように思えた。

 「私は何をしようとか思っていなくて、何の能力もないんですが、神さま使ってください、と思っています」

 曽祖父の森永太一郎は米国留学中キリスト教の影響を受け、帰国後、子供たちに栄養価の高いお菓子を食べさせようと起業した「愛の人」。昭恵夫人も「その血が流れている」と言った。

 だからこそと言うか案の上と言うか、利用されやすい人なのである。

 ■中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう) ジャーナリスト。1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋「週刊文春」編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。16年に『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』を出版。