【元文春エース記者 竜太郎が見た!】三浦祐太朗に求めたい強かさ 母・百恵さんの名曲カバーでさらなる飛躍を

 三浦友和・山口百恵夫妻の長男でシンガー・ソングライターの三浦祐太朗(33)が、母のヒット曲をカバーするアルバム(タイトル未定)を7月9日に発売すると先日のバースデーライブで発表した。

 ライブ中盤、「さよならの向う側」を歌い終え、歌手活動10周年の節目でこうした名曲を歌い継ぐことが使命と考えるようになったと語った。

 企画が決まると、カラオケボックスで百恵さんの曲を何度も歌い、自身が納得できたものから「いい日旅立ち」「秋桜」など8曲を選択。使用許可を得るため詞曲を手掛けた宇崎竜童・阿木燿子夫妻をはじめ、谷村新司、さだまさしのもとに直接出向いたという。

 私は週刊文春時代の2012年5月、GW合併号で祐太朗の独占インタビューを取材執筆した。6ページにわたる特集記事で、彼が初めて家族について詳細に語った内容だ。伝説の歌姫を母に持ち、なぜ同じ音楽の道を進むようになったのか、彼の素顔からいろんなことが見えた。

 「僕ら家族は、前提に信頼と尊敬があるんです。母は『頑張って。結構いろいろと大変なことがあるかもしれないけど、とにかく好きっていうことが一番だから』と励ましてくれました」。素直な語り口に接すると両親のDNAを受け継いだ彼を応援したいという気持ちに自然となった。

 記事は読者からの評判も高く、いま読み返しても自信作といえる。しかし後日、シングル発表会見があったときに、私は理不尽な取材拒否を受けた。レコード会社広報も「記事内容は素晴らしかったんですけど」と口を濁したが、あとで聞くと、業界実力者が「タイトルに母・山口百恵と冠してあるのはどうか」と漏らしたのを周囲が過剰反応したせいだという。

 あらためて言うが、異常だ。本人が嫌がったという話は聞かなかったし、百恵さんの長男なのは事実なのだから、“忖度連中”が甘やかし過ぎなのではないか。

 大物スターの二世だけで通用するほどアーティストの世界は甘くない。結局最後は、本人の歌がファンを魅了するのだ。だから祐太朗には、七光りと呼ばれようともそれを利用する強かさを持ってほしいし、次回作で、さらなる飛躍をしてほしい。

 ■中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう) ジャーナリスト。1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋「週刊文春」編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。16年に『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』を出版。