【元文春エース記者 竜太郎が見た!】来春の理事長選にらみ貴乃花一派、対立派閥「排除」画策か 日馬暴行問題、怪行動は協会への不信感の表れ

休場しているとはいえ、場所中の横綱の事情聴取も異例だ

 「横綱日馬富士の貴ノ岩への暴行が刑事事件として取り沙汰されるのは当然としても、一方で貴ノ岩が所属する貴乃花親方の事後対応へも批判が集まっています」(相撲協会関係者)

 事件が起きたのは先月26日の鳥取巡業。貴乃花親方は相撲協会の巡業部長ゆえ責任を負う立場にある。しかし事件が発覚したのが、なぜか2週間以上たった後の九州場所中で、貴ノ岩は初日の12日から休場しているのに診断書は翌13日に相撲協会に提出されたという。

 「それ以外にも不可解なことが多く、ナゾだらけなのです」(同前)

 事件は連日報じられ、17日には日馬富士は両国国技館で、鳥取県警による任意の事情聴取を8時間受けた。

 日馬富士は「貴ノ岩の礼儀がなっていないので説諭しながら平手で何回かたたいた」「カラオケのリモコンでも軽くたたいた」と説明。当初「ビール瓶で殴った」「さらに馬乗りになって素手で30回殴った」と大きく報じられたが、本人は「ビール瓶では殴っていない」と話しているという。

 横綱白鵬も参加したモンゴル人力士の飲み会。カラオケルームの密室で起きた事件だけにさまざまな証言が交錯し混乱している。警察の捜査が進めば事件の全容は解明されるだろうが、なにしろ理解できないのがキーマンの貴乃花親方の動きだ。

 貴乃花親方は暴行事件の後に鳥取県警に被害届を提出したが、相撲協会に報告せず。協会は警察から連絡があった今月の2日に事件を正式に知ったという。

 協会は貴乃花親方と日馬富士の師匠、伊勢ケ浜親方に事情聴取したが、貴乃花親方は貴ノ岩のケガについて「階段で転んだだけ」と言い、重ねて聞かれると「よくわからない」と。

 事件後、すぐに伊勢ケ浜親方が貴乃花親方に謝罪したことも明らかになっているが、14日、改めて謝罪するため、伊勢ケ浜親方と日馬富士が九州場所の貴乃花部屋を訪ねたが、車に乗っていた貴乃花親方はそこから降りず、そのまま彼らを振り切るように立ち去ってしまった。

 「事件をスクープしたのが貴乃花親方と関係が深いスポニチなので、リーク説がもっぱら。その理由として、来春の理事長選をにらんで貴乃花一派が事件を利用し、対立派閥の現理事長の八角親方を追い落とそうとしたのではないか、と噂されています。とまれ、貴乃花親方の怪行動は協会への不信感の表れです」(相撲担当記者) 

 ■中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう) ジャーナリスト。1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋「週刊文春」編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。16年に『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』を出版。放送中「ブラックリベンジ」(日本テレビ系)の監修を担当。