【元文春エース記者 竜太郎が見た!】朝ドラヒロイン、葵わかなも出身者…地下アイドル“奴隷契約”の実態 あおられ、チケット販売のノルマも…

所属事務所を訴えたメンバーのひとり

 「芸能事務所と契約したときは、最初は給料ゼロでも、売れれば払われると思いました。けれど、いま思えばただ働きだったんです」

 沈痛な面持ちでそう訴えたのは女性アイドルグループ「虹色fanふぁーれ」の元メンバーのひとり。同グループは「地下アイドル」のひとつ。元メンバー4人(10~20代)が11月14日、元の所属事務所「デートピア」(東京)を相手取り、契約の無効確認と未払い賃金計約410万円の支払い、芸名の継続使用を求める訴訟を東京地裁に起こした。

 原告4人は2015年7月、同事務所と契約し、ほかの女性3人を含む7人のグループを結成。同年10月にデビューし、月平均8回のコンサートを行い、イベントでCDなどの物販をしていたという。

 「メンバーの給料はなんと月給3万8000円。さらに毎月同額のレッスン代が差し引かれるという“奴隷契約”でした。また『自分の客を呼べ。ファンを作るのは自分のため』とあおられて、チケット販売のノルマも課せられていた。事務所は過剰に搾取することで業界でも有名でしたが、利益が上がっても彼女たちに配分されることはなく、2年間活動して辞めたあとも『芸能絶対やるな。全力でつぶす』と脅されたそうです」(社会部記者)

 タレントを夢見る若い女性を食い物にするのは芸能界ではよくある話だが、その背景にあるのは昨今の「地下アイドル」人気だ。

 「おたくファンを当て込んだ地下アイドルは全国で約1000グループあり、そのレベルに達しないアイドルは『地底アイドル』と呼ばれています。『AKB48』や『乃木坂46』を頂点にするピラミッドの、アイドル予備軍の裾野はますます広がっています。最初はキャパ50人くらいのライブハウスで、お客さんがメンバーの数より少ない2、3人という状況からスタートし、運が良ければ人気が出る。その中から『でんぱ組.inc』や『仮面女子』、『生ハムと焼きうどん』などメジャー級のホールを満席にするような成功を収めたグループも出てきた。NHKの朝ドラ『わろてんか』の主演に抜擢された葵わかなも『乙女新党』という地下アイドル出身者です」(アイドルプロデューサー)

 今回の原告もいつか売れると我慢した揚げ句、だまされていたと知ったというわけか。それでも「芸能活動は続けたい」ということからも、この手のトラブルは氷山の一角といえよう。

 ■中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう) ジャーナリスト。1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋「週刊文春」編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。16年に『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』を出版。放送中「ブラックリベンジ」(日本テレビ系)の監修を担当。