《zak女の雄叫び お題は「白」》時事ネタ漫才に賛否両論 政治記者がウーマン村本の問題提起を考えてみた

ウーマンラッシュアワーの村本大輔

 お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」が17日放送のフジテレビ番組「THE MANZAI2017プレミアマスターズ」で披露した時事ネタ漫才が反響を呼んでいる。視聴者の間では、「感動した」「よくぞ言ってくれた」という称賛と、「ドヤ顔で政治的主張をしただけ」「漫才にも社会風刺にもなっていない」といった批判の両方があり、賛否が分かれている。

 2人は今回のネタで、原発や沖縄の基地負担軽減などの問題に次々と言及。こうした政治的課題よりも議員の失言や芸能人の不倫により強い関心を寄せる「国民の意識の低さ」こそが問題だと指摘した。最後はボケ担当の村本大輔が観客に「お前たちのことだ!」と言い放って締めくくった。

 漫才としての質の善しあしや、他の出演者との比較はその道のプロに任せたい。ただ、永田町を取材する政治記者として個人的感想を述べるなら、なかなかに楽しめる内容だった。政治ネタを嫌うお笑いファンもいる中、こういうネタもありだと思うのは自分が政治に関わる仕事をしているからかもしれないが、特に前半は笑いどころが多く面白いと感じた。

 一方で、後半は単なる事実の羅列と意見表明に終始した印象を受けた。称賛する人たちのコメントを読むと、漫才としての面白さを評価するというよりも、どちらかというとその「政治的主張」への共感や、批判を恐れずテレビで披露した気概を評価するものも多い。

 一介の政治記者としてあえて真面目に「主張」を分析すると、一言でいって左寄りの人たち、反権力の人たちに受けやすい内容になっている(村本が彼らと軌を一にしているとはかぎらないし、別に彼らのウケを狙ったわけでもないだろうが)。

 また、言及した大半の政治課題に関する見方に新鮮味はなく、(お笑いコンビが漫才で指摘したという手法以外に)驚きや痛快さは感じられなかった。ただ、政治に無関心だった人にはそうではなかったようだ。彼らの狙いは私のような者をうならせることではなく、政治に無関心な人に関心を持たせることこそにあったのだろう。

 「国民の意識の低さ」が問題だ、という村本の指摘はもっともだ。これだけメディアが多様化し気軽にニュースをチェックできるようになっても、無関心な人にも情報を届け関心を持ってもらうのは依然難しい。そこは記者としてじくじたる思いがあり、日々の仕事で常に意識している。

 だが、報道機関が繰り返しきまじめに伝えるより、お笑い芸人が一発のネタで面白おかしく伝えるほうが、関心喚起にはずっと効果的なこともあるのは事実だ。そういう意味では、ウーマンは「無関心」への問題意識を共有する同志といえるかもしれないし、感謝すべきかもしれない。

 ただ、村本にはやっぱり投票に行ってほしい。彼は10月の衆院選で投票に行かなかったとツイッターで明かし、猛批判を浴びた。他媒体のインタビューなどをみるといろいろな考えがあって棄権したようだが、棄権するぐらいなら白票でもいいから投じてほしかった。

 「白紙投票は投票棄権と変わらない」との指摘もあるが、棄権と違うのは投票率向上に結びつくことだ。村本は白紙投票すらしなかった理由について、政治家から「白票なんて気にしない」と言われたことを挙げている。だが、投票に行かない有権者は白票よりもっと気にされないというのが、国政選挙を取材して感じる本音だ。投票率が低いほうが有利な与党にとっては無党派層の動向は脅威になり得るし、風に左右される野党にとっては無党派層の取り込みが盛衰のカギとなる。投票を棄権する有権者はどちらにも相手にされない。

 白票は確かに選挙結果には影響しないが、投票を棄権して存在を無視されるよりは、投票所に足を運んで存在を示すほうがまだマシではないか。5月の仏大統領選や平成26年に行われた大阪の出直し市長選などのように、白票が多かったことがクローズアップされた大型選挙もある。

 何より、投票に行っていないと豪語した人がもっともらしいことを並べ立てても説得力がない。せっかくいいことも言っているのだから、投票に行って説得力を持たせてほしいというのが勝手な願いだ。

 それか、「お前たちのことだ!」の後、相方の中川パラダイスが「偉そうに言ってるけど、あんた投票行かなかっただろ」とでも突っ込んでオチにするぐらい開き直るか。まあ、彼らにとっては説得力のありなしはどうでもいいことかもしれないけれど…。(蜂)

 永田町を取材するアラサー記者。

 【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。12月のお題は「白」です。