【ぴいぷる】映画『嘘八百』W主演の中井貴一、佐々木蔵之介 実力派2人が怖がる「間隔」、舞台や撮影初日の前は眠れず

中井貴一(左)と佐々木蔵之介

 日本映画界を代表する実力派俳優2人がそろって登場だ。大阪・堺を舞台にした映画『嘘八百』(1月5日公開、武正晴監督)でダブル主演する2人だが息はピッタリ。気がつけば、掛け合い漫才のようなインタビューとなった。

 目利きだが空振りばかりの古物商の則夫(中井)と、落ちぶれてしまった陶芸家の佐輔(佐々木)が巻き起こす騒動を描いた“痛快お宝コメディー”。大御所鑑定士の棚橋(近藤正臣)に一杯食わされた過去がある2人は、結託して「幻の利休の茶器」を仕立て、仕返しついでに一獲千金を狙うのだが-。

 --骨董(こっとう)を題材にした映画だ

 中井 「そのお宝が安土桃山時代に作られたものか、江戸時代のものかなんて、現代の俺らからしたら分からないけど、古物商はそれを鑑定して販売する。“本物”かどうかって。でも、陶芸家はそれぞれの時代で“今”を形にしているんだよね」

 佐々木 「古ければいいってもんじゃない、今まさに作っているんだよっていう思いですよね。役者としても考えます。昔のあの映画は確かにいい。でも、自分たちが作っている今の映画を認めてもらいたいって」

 --近藤を始め、寺田農や芦屋小雁、坂田利夫といったベテラン勢との共演は?

 中井 「愛すべき先輩方なんだけど、誰も頼りになる人がいなかったよね(笑)」

 佐々木 「まったく同じNGが出ちゃって『先輩、さっきの聞いてました!?』っていうのがありましたね」

 中井 「でも、存在感や人を引きつける力がすごくて、役者というのは何なのかを考えさせられた。あれは努力しても身につかない。その人の生きざまが反映されるから。かなわないよ」

 --ほかの現場ではベテラン組に入ることが多いのでは?

 中井 「今の自分はまだ頑張ってしまう状態。もう一つ壁を乗り越えて、頑張らなくても存在感が出せるというところまで自分を持っていけるか、かな」

 佐々木 「貴一さんに『先輩、聞いてました!?』なんて言わないと思いますよ」

 中井 「いや、分かんないよ。俺も同じNGを何回も出して『すみません、忘れましたー!』って言うかもしれないからね」

 --撮影は昨年の1、2月。2017年を振り返って思うことは?

 中井 「みんなが同じように『1年たつのが早い』って感じているのかな?」

 佐々木 「小学1年生の1年間が一番長いらしいですよ。新しい経験や情報が多くて刺激になるから。短いと感じるのは、慣れてきたことで刺激が少なくなってきているからだって」

 中井 「じゃあ、去年は刺激の少ない1年だったかな。作品が変わるから刺激はあるんだろうけど、ドラマだと3カ月とか半年とか掛かるからね。曜日の感覚なんてなくなるし」

 佐々木 「なくなりますよね。人と会う予定とかたてられないです。そもそも去年、何やってたっけ?」

 --舞台『リチャード三世』やNHK『ひよっこ』とか

 佐々木 「ああ、やってました(笑)」

 中井 「いまだになんだけど、ドラマでも映画でも撮影初日の前は眠れないんだよね。舞台の初日も同じ」

 佐々木 「貴一さんでもですか? 僕の場合は舞台の2日目ですね。初日はなんぼ間違っても祝ってもらえるけど、2日目以降は当たり前に間違えないことが求められるので」

 中井 「仕事をし続けることで緊張に慣れるというのもあるから、間隔が空いたときのほうが怖い」

 佐々木 「怖いですね。手が震えちゃって台本を持てないです。せりふの覚え方が分からなくなります」

 --最後に、2人にとっての“お宝”とは

 佐々木 「お宝ですか、うーん…。その時々で変わっていくものなのかもしれないです。幸せを感じる瞬間もその日によって違いますしね」

 中井 「俺はまだ探し中かな。お宝を手に入れて満足するなんてことがないからこそ、役者という仕事を続けているからね。自分の人生をどうやって宝にするか、宝探しをいかに楽しむかってことなんじゃないかな」(ペン・磯西賢 カメラ・福島範和) 

 ■中井貴一(なかい・きいち) 1961年9月18日生まれ、56歳。東京都出身。81年の映画『連合艦隊』(松林宗恵監督)でデビューし、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。83年のTBS系ドラマ『ふぞろいの林檎たち』で一世を風靡し、以降多数の話題作に出演。代表作に94年『四十七人の刺客』(市川崑監督)、2014年『柘榴坂の仇討』(若松節朗監督)など。

 ■佐々木蔵之介(ささき・くらのすけ) 1968年2月4日生まれ、49歳。京都府出身。大学在学中から劇団『惑星ピスタチオ』で看板俳優として活躍。2000年のNHK連続テレビ小説『オードリー』で注目を集め、ドラマや映画、舞台と幅広く活動を続けている。05年には自らプロデュースを務める演劇ユニット『Team申(さる)』を立ち上げた。