【激震 芸能界契約異聞】ローラが狂喜する?独禁法保護 芸能事務所は「売れっ子」という商品を失う一大事

ローラの問いかけが芸能界に波紋を広げた

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 芸能界が大きく変わるかもしれない。芸能事務所とタレントとの間で起きる独立トラブルは今も昔も後を絶たない。そんなタレントの契約の実態を改めようという動きが高まっているのだ。芸能評論家、肥留間正明氏がその核心に迫る。

 2月15日、芸能プロダクションで構成する日本音楽事業者協会は国内の多くの芸能事務所が採用している「統一契約書」の見直しを発表した。

 最大の見直しは契約更新の部分だ。現行のものは、所属タレントが更新を希望しなくても、1回に限って事務所側の意向で更新できるとされている。この条項の削除や改定を予定しているのだ。

 契約更新のトラブルで記憶に新しいのはモデルでタレントのローラ(27)だ。昨年、10年間の契約を満了しても、事務所の承諾がないとさらに10年間契約が自動更新されることに反発し、独立トラブルが起きていると報じられたのだ。韓国では珍しくない契約事項だが「こんな契約が今の日本にもあったのか」と驚かされる。

 タレントが優位になる音事協の契約の見直しは、今後の契約のあり方を大きく左右することになる。その背景には2月1日、公正取引委員会の有識者検討会が「企業側が、フリーランスに対して、他の企業との取引制限や移籍制限を一方的に課すのは独占禁止法違反に当たる」との報告書を公表したことにあった。

 「統一契約書」の契約更新条項は、タレントの育成費用の回収目的で設けられている。パンフレットの作成やメディアへの売り込み、生活費、衣装代、ヘアメーク、撮影費、スタジオ代など、新人タレントを売り出すための投資はバカにならないからだ。

 しかし一般企業でこれが通用するかというと、そうではないだろう。企業は右も左もわからない新入社員の育成のために給料、交通費を支払い、福利厚生まであてがう。しかし「これだけ投資したのだから、会社を勝手に辞めることはできない」とは言わない。

 独立した芸能人が仕事を失う事例は後を絶たない。独立後に引退報道が飛び交った水野美紀(43)と鈴木亜美(36)、個人事務所の元社長とのトラブルで紅白歌合戦の連続出場まで途絶えた小林幸子(64)ら枚挙にいとまがない。

 独禁法は「優越的地位」を乱用して不当な契約を結ぶことを禁じている。だが、タレントの労働契約で独禁法違反になった例はない。

 この見直しで、今後はタレントが「契約を更改したくない」と主張すれば、独立、あるいは移籍ができる可能性が大きくなる。これは芸能事務所側にとって「売れっ子」という商品を失うわけだから、一大事どころか経営にも大きく影響を与えかねない可能性もある。(肥留間正明)=つづく