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アカデミー賞受賞の辻一弘さん、進路を決めた衝撃の映画誌との出会い 高校時代に決意「特殊メークをやる」

 米映画界最大の祭典、第90回アカデミー賞で、メーキャップ&ヘアスタイリング賞で日本人初受賞を果たした「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」の辻一弘さん(48)。映画誌で特殊メークの技術を目にし衝撃を受け「これをやる」と決意してから30年あまり。3度目のノミネートで見事栄冠をつかんだ。

 辻さんは1969年京都市生まれ。母校・龍谷大平安高校時代からハリウッドの特殊メークに興味を持ち、担任の三條場裕之氏(61)は「当時から手先が器用で、人の小指を作ったり、自分にやけどの特殊メークを施したりして、驚かされた」と振り返る。

 転機となったのが高3時、洋書店で手にした映画誌だった。特殊メークの巨匠、故ディック・スミス氏が俳優をリンカーン大統領に変身させる過程の写真を目にし、雷に打たれたような衝撃を受けたという。進路相談では「大学には行きません。映画メークの世界に行きたい」ときっぱり話し、卒業後は独学で技術を学んで1996年にハリウッドに渡った。

 やがて頭角を現し、2007、08年にアカデミー賞にノミネートされるが、一方で映画界と自身の理想との間にギャップを感じ、12年に肖像彫刻の芸術家に転身した。今回は主演の英俳優、ゲイリー・オールドマン(59)から「あなたが引き受けてくれなかったら、私はこの映画に出ない」と直々に口説かれ、映画界に復帰した。

 日本の芸大生を前にした講演で、辻さんは「何が本当にやりたいかを見つけることが大事。それが分からないうちは、進むべき道も分からない」とも語っていた。高校時代に出合った「やりたいこと」を貫いてのオスカー受賞だった。

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