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【ぴいぷる】作家・池澤夏樹氏、作品ルーツは乗り物好き 「趣味は?と問われると…」 (2/3ページ)

 「結局、好きなんですよね。振り返ってみたら、随分いろんなものに乗ってきたし、見てきたから、結局それに尽きるんだけどね。まぁ、男の子だから。そういえば、エッセイストの酒井順子さんに『女子と鉄道』というエッセーがあって、帯に“茶道、華道、鉄道”って。彼女は乗り鉄ですけど」

 三つ子の魂百までは届かないが、齢(よわい)72まで続いている“乗り物好き”。

 「自転車に乗ると男の子の行動範囲は急に広がります。いまだに茶沢通り(東京・世田谷)の道に詳しいんですよ。それで、大人になると、結局、その背景には旅好きがあるんです。旅で移動しているから、いろいろと出合うことになる。それも変なところに行くものだから、それこそネパールの山の中に行くと馬しかないから馬に乗る」

 『のりものづくし』の本文中に出る「馬のコロ」と旅したヒマラヤの山道は断崖絶壁、一蓮托生だった。その旅の終わり、コロとの別れはじんわり胸にくる。

 同書では、6歳の頃に体験した出身地の北海道・帯広から東京までの旅に始まり、新幹線とTGV、地下鉄、エレベーター、タクシー、市電、レンタカー、フェリー、自転車、カヤックなどに加えて「乗る」だけではなく「載せる」ヤギまで登場して幅広い。

 「地下鉄」では子供の頃、渋谷で高架線を走る電車が「地下鉄」であることに疑問を抱いた話。60年を経て、渋谷駅は大再開発中であり、変貌を遂げつつある。「変わってしまいましたからねえ。玉電(現・田園都市線)の線路はいまはエクセル東急への進入路になっている」

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