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【ぴいぷる】作家・池澤夏樹氏、作品ルーツは乗り物好き 「趣味は?と問われると…」 (3/3ページ)

 昨年末から約3週間、テレビのロケで南米・パタゴニアを旅した。

 「成田を出てダラスフォートワース(米国)まで12時間。そこで6時間待ちで、ブエノスアイレスまで12時間。それだけで30時間。1泊して翌日、パタゴニアのリオ・ガジェオス空港まで3時間。東京から1万8000キロ! 実は現地で乗りたいフェリーがあったんだけど、時間がなくて乗れませんでした。この本の中で、フェリーで3回アジア大陸に渡ったことを書いたので、(南米大陸最南端部)フエゴ島から対岸の南米大陸側に渡れば、フェリーで大陸に渡る4回目の機会でしたが、残念。そういうところが子供っぽいんですよ。でも、僕はコレクターじゃない。DC-3は別だけど」

 乗り物の中でもとりわけ飛行機が好き。DC-3は1930年代に製造され戦前戦後に世界中で輸送機、旅客機として使用された名機で、本書でもそのルポは旅先で出合った乗り物ではなく、「乗りに行った乗り物」として特別だ。

 コレクターではないと言いつつ、本書で結果的に乗り物コレクションがあることを認めた(前書きより)が、「趣味は? と問われると本当に無趣味かもしれない。趣味と仕事が一体化してるんでしょう。“遠足に行ったら作文”みたいに」。

 “お家に帰るまでが遠足”ではなく、“作文を書くまでが遠足”。今度の“遠足”ではどんな乗り物に巡り合うのだろう。(ペン・竹縄昌 カメラ・飯田英男)

 ■池澤夏樹(いけざわ・なつき) 作家。1945年7月7日、北海道生まれ。72歳。詩人として活動後、84年『夏の朝の成層圏』でデビュー。87年『スティルライフ』で中央公論新人賞を受賞し、芥川賞受賞。93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞受賞など小説での受賞多数。このほか、2007年『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集』で毎日出版文化賞、朝日賞受賞。世界文学に続き『日本文学全集』を刊行中(年内完結予定)など、編者、書評家としても活動している。女優でエッセイストの池澤春菜さんは長女。

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