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【新橋のネクタイ巻き TV視てますか?】人間模様が“多重事故風”に展開 小気味いいサプライズの連続に脱帽 日テレ系ドラマ「獣になれない私たち」

 日本テレビ系『獣になれない私たち』は12日が最終回。あまりの出来のよさに、このドラマはベストな状態で見なきゃもったいないと、某日、2話から9話までを“一気見”し、至福の時を味わえた。

 脚本が一昨年のベスト作『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子。演出は坂元裕二脚本3部作『Mother』『Woman』『anone』を手がけた水田伸生。そして主演が『逃げ恥』の新垣結衣と、昨年のベスト作『カルテット』(脚本は坂元)のカルテットの1人、松田龍平。

 とくれば、見どころは野木の脚本が『逃げ恥』とは違ったガッキーの新たな魅力をどれだけ引きだすか、水田が坂元3部作で示した演出力をどれだけ極められるか、そしてガッキーと龍平がどれだけ「獣になれない私たち」という題名の妙を納得させてくれるか。

 肩ひじ張って見始めたが、そんなこと、もはやどうでもよくなった。連鎖に継ぐ連鎖。小気味いいサプライズの連続…。

 タクラマカン斎藤(松尾貴史)が店主を務めるクラフトビールバー。文字どおり都会のオアシスのカウンターを中心に、一言も聞き逃すのが惜しいほど絶妙でイミシンで含蓄があってオシャレでもある会話と、2010年代末らしく軽いようで重い(?)人間模様が多重事故風に展開していく。

 ECサイト制作会社勤務のガッキーと大手デベロッパー勤務の田中圭。会計士事務所を構える龍平とデザイナーの菊地凛子。そして田中のマンションに「4年も居座り続ける元カノ」の黒木華。

 シリアスかと思えば抱腹絶倒のシチュエーションコメディーでもあり、ちゃんとした社会派ドラマにもなっている。

 それと、特筆したいのが平野義久の音楽。セピア色の画面で松田龍平が見せた苦渋の表情を、マーラーの交響曲第5番の「アダージェット」を思わせる深い旋律が包んだとき、思わずため息が出た。(新橋のネクタイ巻き)

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