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【BOOK】甦る母の言葉「イデオロギーや思想よりも情があるかで人間を計るべきだ」 (1/3ページ)

★姜尚中さん「母の教え-10年後の『悩む力』-」集英社新書820円+税

 ■「最後は自然に還る」田舎暮らしを始めて5年 そろそろ日本国籍を取ること考えてもいいんじゃないかと

 在日コリアンとしての苦悩を背負い、社会と闘い、その不条理をメディアで訴えてきた著者が、還暦を過ぎて田舎暮らしを始めた。ゆったりと流れる時間の中で胸に去来するのは亡き母の言葉、そして激動の朝鮮半島情勢、そしてこれからの日本国籍取得へ向けた思いとは。(文・梓勇生 写真・三尾郁恵)

 --軽井沢近くで田舎暮らしを始めたのが5年前でした

 「東大(教授)を辞めて、本当にいろいろなこと(息子の死など)がありましてね。僕はいま68歳で、まもなく70歳を迎える。古来希なりの『古希』です。父親は73歳で亡くなっていますし、『終活』というと妻は嫌がりますが、あと何年残されているか…。そう思うと、自然に還るというか、最後は、心象風景通りの場所へ戻りたいと考えたのです」

 「いろんな場所を探して軽井沢の近くに行き着きました。妻はペーパードライバーで最初は反対しましたが、折れて出した条件が“土いじり”ができること。100歳に近い妻の母が住む実家に比較的近いことも、決める理由になりましたね」

 --都会を離れた生活の中で、80歳で亡くなったお母さんの言葉が改めて甦ってきたと

 「マザコンか、ファザコンか、で分けるならば僕は、マザコンでしょうね(苦笑)。僕がある程度、世に出て社会的地位(大学教授など)を得た頃は、そうした母の苦労話などを疎ましく感じることも多かったのですが、自分の子供を亡くして、改めて母の言葉が違う意味で胸に響くようになりました」

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