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【男が泣く浅田次郎・時代劇の神髄】主人公の一途さが現れた参勤交代 「一路」 (1/2ページ)

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 浅田次郎原作の時代劇の中でも、若さと痛快さが輝いたのが、NHKで放送された「一路」だ。

 江戸育ちの小野寺一路(永山絢斗)は、父の急死で急遽故郷に帰り、わずか19歳で西美濃の旗本蒔坂家の参勤交代を差配するよう命じられる。

 期限の12日間で江戸に到着しなければ一路が切腹するだけでは済まないほどの御家の一大事。

 だが、頑固な蔵役の佐久間(藤本隆宏)はじめ家臣たちは若造の言葉に従わず、露骨に嫌な顔。さらに肝心の主君、左京大夫(渡辺大)もいつもきょろきょろと落ち着きがない評判のうつけ殿だった。そんな中、なんとか出発したものの、山の多い中山道でなぜか吊り橋が切れていたり、路銀が盗まれたりと事件が頻発する。

 合言葉は「参勤交代は戦だ!」

 事件の裏にこの参勤を失敗させて御家を乗っ取ろうとする陰謀があるとも知らず、陰口を言われても、土砂降りの中でも一路は必死に働く。そして、ついに一行の中の裏切り者を見つけ、対決する。いったい誰が裏切者なのか? そのサスペンスと「必殺シリーズ」を思い出すような対決シーンもみどころだ。

 面白いのは、殿の2頭の愛馬。白雪(室井滋)とブチ(熊田曜子)はなぜか人間の言葉を話し、どっちが殿に愛されているかなどと口げんかばかり。だが殿をがけ崩れから守った白雪は、足を骨折する。歩けぬ馬の運命はひとつ。「殿を頼んだわよ」とブチに後を託し、死にゆく白雪の後ろ姿に、全員が静かに頭を下げる。ぐっとくる場面である。

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